沖縄の半島を1人乗り電気自動車で走り回る、30台でシェアリング実証:電気自動車
トヨタ自動車が沖縄県の本部半島で観光客を対象に、1人乗り電気自動車のシェアリングサービスを2016年1月から実施する。人気の水族館をはじめ観光名所が集まる半島に30台の電気自動車を配備して、狭い道や急な坂でも自在に走り回れる新しい移動手段の効果を検証する狙いだ。
トヨタ自動車は東京都の中心部や愛知県の豊田市、フランスのグルノーブル市でも1人乗り電気自動車を使ったカーシェアリングサービス「Ha:mo(ハーモ)」の実証実験に取り組んでいる。新たに観光地を対象に沖縄県の本部(もとぶ)半島で「ちゅらまーいHa:mo」の実証実験を2016年1月中旬に開始する計画だ。「ちゅらまーい」は造語で、「ちゅら」は沖縄の方言で「美しい」、「まーい」は「回る」を意味する。
シェアリング用の電気自動車にはトヨタ車体が製造・販売する「COMS(コムス)」を使う(図1)。本部半島にあるホテルや観光協会など6カ所に合計30台のCOMSを配備するほか、主要な観光施設10カ所に充電ステーションを設置する予定だ。
本部半島には観光客の人気が高い「美ら海(ちゅらうみ)水族館」をはじめ、世界遺産の「今帰仁城(なきじんじょう)跡」など、名所旧跡が数多く分散している。実証実験では新開発のアプリ「おすすめルート案内」を組み込んだタブレット端末をCOMSに搭載して、観光スポットを紹介しながらルートを案内するサービスの効果を検証する(図2)。
本部半島は沖縄本島の北部にある(図3)。周囲16キロメートルほどの広さで、本部町(もとぶちょう)と今帰仁村(なきじんそん)、名護市の一部を含む3つの市町村で構成する。最近は観光客が数多く訪れるものの、周辺地域と比べて宿泊客の少なさが課題になっている。
半島内の道は狭くて急なところが多く、通常の乗用車や自転車では走りにくいことも観光客にとっては不便な点だ。1人乗りの電気自動車を手軽に利用できれば、長い滞在時間を楽しめるようになり、宿泊客を増やせる期待がある。
カーシェアリングサービスは地元の観光協会が中心になって運営する。トヨタ自動車がCOMSを提供して、JTBグループが充電器の設置と旅行プランの商品化を担当する協力体制になる。実証期間は2016年12月末までの約1年間を予定している。トヨタ自動車は本部半島の実証結果をもとに、沖縄県内の他の地域でも同様のサービスを検討していく。
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