ホンダの新型FCV「クラリティ」、43万円が意味する「ミライ」との差:電気自動車(3/3 ページ)
ホンダの市販車用となる燃料電池車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」がついに公開された。航続距離は700kmで、販売価格は税込み766万円。2016年3月からまず自治体や企業などにむけてリース販売を開始する。
水素の「つくる・つながる・つかう」をアピール
ホンダは水素社会の実現に向け、「つくる・つながる・つかう」という同社の水素利用のコンセプトを掲げている。「つかう」は今回発表した水素を使って走るFCVのクラリティ、「つくる」は同社の水素ステーション「Smart Hydrogen Station(SHS)」(図5)が担う。「つながる」を実現するのは、FCVや電気自動車を電源として外部給電を行える給電装置「POWER EXPORTER 9000」(関連記事)だ。
FCVの普及には水素ステーションなどのインフラ整備が欠かせない。ホンダはクラリティをまず自治体や企業などを中心に販売していくとしているが、クラリティとともに水素ステーションであるSHSも同時に提案していくというのが狙いだろう。
水素ステーションの整備には数億円のコストが掛かるといわれる。SHSは水素製造から充填までの主要構成部位をパッケージ型にまとめ設備全体を小型化しているのが特徴で、設置期間も数日で済み、整備コストも抑えられる。既にSHSは2014年にさいたま市や北九州市への導入実績がある(関連記事)。
今回の東京モーターショーでは、未来の都市とクルマの関係性をイメージしたテーマパーク型エキシビション「SMART MOBILITY CITY 2015」も同時開催している。ホンダはこちらの出展ブースで、クラリティ、SHS、POWER EXPORTER 9000の3つを用い、「つくる・つながる・つかう」という同社の水素利用コンセプトをアピールしていた(図6)。
なお、POWER EXPORTER 9000については、2016年3月のクラリティのリース販売開始と同時に提供していくとしている。
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