環境問題への取り組みは“動いていない自動車”に価値を与える:スマートシティ(2/2 ページ)
2年に1度の自動車産業の展示会「東京モーターショー2015」において「自動車はモビリティではなく既に社会インフラになりつつある」と日本自動車工業会会長の池史彦氏は強調する。
自動車メーカートップの考え方
これらの自動車を取り巻く動きが変化する中、自動車メーカー各社のトップはどのように考えているのだろうか。Mobilityscape Tokyo 2015には、日本自動車工業会の会長である池氏をはじめ、4人の副会長が参加。日産自動車 代表取締役CCO兼副会長の西川廣人氏、トヨタ自動車(以下、トヨタ)代表取締役社長の豊田章男氏、三菱自動車工業 代表取締役社長兼COOの相川哲郎氏、マツダ 代表取締役社長の小飼雅道氏がそれぞれの企業での考えを述べた。
「将来は顧客と市場が決めるもの」トヨタ社長
トヨタの豊田章男氏は、環境対策や電動化が求められる一方で、電動化の動きについてもさまざまな選択肢がある状況について「将来のことはどうなるか分からない。最終的には顧客と市場が決めるものになるだろう」と述べる。
「ハイブリッド自動車も多くが普及したように見えるが、現状での普及率は2%程度だ。それほど、新しいものが定着するには時間がかかるということだ。電動化が進む中でも内燃機関がすぐに全て変わるということはなく、過渡期がある。それぞれが特徴を出しながら“いい車”を作っていくことが重要だろう」と豊田氏は述べている。
「電動化を磨くとともに内燃機関も磨く」日産社長
日産自動車の西川廣人氏は、将来のエンジンの姿について「電動化は避けられないだろう」と述べる。
同社はハイブリッド自動車の他、電気自動車を既に展開。さらに燃料電池車も投入する方針を示す。「燃料電池車でも電気自動車でも、電動化が避けて通れないのは事実だ。しかし、グローバルでの展開を考えると、リソースは多様化していくだろう。ハイブリッド自動車も伸びているので、電動化を磨くとともに内燃機関も磨くことが必要になる」と西川氏は語っている。
「止まっている時にも価値がある車に」三菱自動車社長
三菱自動車の相川哲郎氏は「電気自動車は、移動する時だけでなく、止まっている時も価値がある。蓄電池としての役割を果たすからだ」と、電気自動車を中心に電動化に積極的に取り組んでいく姿勢を見せる。
「電気自動車に力を入れていく。止まっている時にも価値がある自動車を作り、世の中の役に立つように努力していく。ただ、電気自動車はまだ生まれたばかりの赤ん坊のような状況だ。関係者とともに大きく育てていきたい」と相川氏は語っている。
「内燃機関を磨いていくことも大事」マツダ社長
マツダの小飼雅道氏は現実的に内燃機関を磨いていく重要性を訴える。「将来の電動化が進むことは間違いない。しかし現状は内燃機関を強化していくことが環境への貢献にもつながる」として、エンジンのクリーン化に積極的に取り組む方針を示している。
電動化の動きは始まったばかり
電動化の動きが加速する一方で「今回の東京モーターショーで出展されたような先進的な技術が普及するのはまだまだ先の話で、当面はモータリゼーションの拡大は新興国中心に進んでいく」と池氏は現実的な状況を述べる。
しかし、「地球環境問題は今すぐに取り組まなければならない問題だ。これからの自動車は単なるモビリティではなく社会インフラの1つになっていく。その中で日本の企業が地球のことを真剣に考えているということを発信できる場としていきたい」と環境に向けて積極的に取り組んでいく姿勢を示していた。
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