英国ロンドンをIoTでスマートシティに、NECなどが参画:スマートシティ
グリニッジ天文台などがあることで知られる英国ロンドンのグリニッジ王室特別区で、スマートシティの構築に向けたプロジェクトが始まる。同地区とNEC、デジタル・グリニッジ社が交通、医療、エネルギーなどのさまざまな分野でIoTを活用したサービスを展開していく。
NECの100%子会社であるNECヨーロッパは、英国ロンドン南東部に位置するグリニッジ王室特別区(ロイヤル・バラ・オブ・グリニッジ)および、その傘下のデジタル・グリニッジ社と、スマートシティ分野で協力する基本合意書(MOU)を締結した(図1)。今後、ビッグデータやIoT(Internet of Things、モノのインターネット)ソリューションを活用し、同特別区の市民や観光客向けのサービスを強化していく。
グリニッジ王室特別区は、25万人以上の人口を抱えるロンドン地方行政区域で、2010年から2028年の期間で人口が34%増加すると推定されている。さらに世界的に名高い競技施設兼コンサート会場「The O2 Arena」(オーツーアリーナ)などがあり、人気の観光地でもある。そこで同特別区は、住民や観光客の増加への対応と行政サービスを拡充することで、生活・観光・ビジネスの拠点として発展させる「グリニッジ・スマートシティ戦略」を推進。デジタル・グリニッジ社がスマートシティ技術の開発を担当している。
3者はこの「グリニッジ・スマートシティ戦略」の一環として、地元住民を対象とした公共・商業サービスの強化に向け、ビッグデータやIoT関連ソリューションの活用で協力していく。これに伴い、クラウドサービス型のスマートシティ・システム基盤であるNECの「クラウド・シティ・オペレーション・センター」を導入する。このサービスにより、同区全体に設置されたセンサーを通じて収集されたさまざまなデータを分析・処理することが可能となり、IoTを活用した安全・安心・快適な都市生活の提供を目指す。
今後3者はこの協業を通じ、渋滞緩和などの交通領域、ソーシャル・ケア、住宅、廃棄物管理、スマートグリッドなど幅広い社会ソリューション分野におけるサービス向上を図っていく。また、同特別区内に設置されたセンサーを通じて収集された各種データを「クラウド・シティ・オペレーション・センター」上に公開することで、地元の起業家やアプリ開発者が住民ニーズに基づいた新サービスの創造が可能となる。これにより、新たなITスキルの開発・発展、および同特別区における新たなICT事業の成長促進が期待されるとしている。
関連記事
- エネルギーを地産地消するスマートタウン、被災地の東松島市に建設
宮城県の東松島市で最先端のスマートタウンを建設するプロジェクトが始まった。災害公営住宅85戸と病院や公共施設をエネルギー管理システムで結び、太陽光・バイオディーゼル・蓄電池から電力を供給する。市内のメガソーラーの電力も活用して低炭素型の「防災エコタウン」を目指す。 - 電力比較サイトの本命か、「電気を選ぶ」を常識にする英国発サービスが始動
小売全面自由化に向け各社から電力料金プランの発表が始まっているが、同時にこうしたプランの比較サービスの展開も目立ってきた。そのうちの1社であるエネチェンジが戦略方針を発表。自由化で先行する英国で得たノウハウと技術を強みに、2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向けサービスを本格展開する。 - 英国の家庭市場で電力のシェア25%、ITを駆使するブリティッシュガス
1990年代に電力とガスの小売全面自由化を実施した英国で、かつて国営企業だったブリティッシュガスが電力でも25%のシェアを獲得している。IT(情報技術)を駆使して、ガスと電力のセット料金プランの提案やポイントサービスとの連携などを積極的に推進してきた効果が大きい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.