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航続距離280kmを実現した日産「リーフ」、新型バッテリーの中身に迫る:電気自動車(2/2 ページ)
日産自動車が電気自動車「リーフ」のマイナーチェンジモデルを発表した。従来より高容量となる30kWhのリチウムイオンバッテリー搭載モデルを用意し、最大航続距離はこれまでの228kmから280kmまで拡大した。
サイズはそのままで30kWhに容量アップ
新開発の容量30kWhのリチウムイオン電池パックは、従来より容量が25%増加している。しかし電池パックの大きさは従来と同じとしており、これにより車室や荷室の広さを損なうことなく航続距離の向上を実現している(図2)。
日産は「東京モーターショー 2015」で、新型リーフに搭載した新開発の電池モジュールのカットモデルを展示していた(図3・4)。サイズはそのままに容量を30kWhまでアップできた秘密の1つは、電池モジュールを構成する電池セルの改良だ。新開発のリチウムイオン電池パックでは、電極材料を改良し、従来と同じ入出力密度を維持しながらエネルギー密度を高めている。
リチウムイオン電池パックを構成するセル数は192個のままだ。しかし従来モデルは電池セル4個から成る電池モジュールを48個接続していたが、電池モジュールを構成する電池セルの数を8個に変更し、電池モジュール数は24個に半減している(図5)。電極材料やこうした電池パックの構成を見直すことで、容量24kWhと同じサイズで容量を30kWhにアップしている。
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