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“1本足”から脱却したい東京ガス、ガス5社と提携し電力販売網を強化電力供給サービス(2/2 ページ)

東京ガスは2016年4月からの電力の小売全面自由化に向け、都市ガス5社と電力販売で提携すると発表。ガス事業だけに頼らない事業ポートフォリオを目指す東京ガスは、電力事業の拡大に向け首都圏での顧客獲得競争に備えて販売基盤を強化する狙いだ。

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東京電力の牙城を崩せるか、ガスの自由化を見据える東京ガス

 東京ガスが電力販売を目指す首都圏は、4000万人以上、約2700万世帯が暮らしており、小売電気事業者から見た場合、最大規模の市場になる。そして首都圏はこれまで東京電力が1社独占で電力を販売してきた、同社の牙城とも呼べる地域だ。東京ガスのような新たに参入する小売電気事業者は、東京電力の持つ膨大な既存顧客をいかに自社サービスに鞍替えさせるかがポイントになる。

 一方、既存顧客の維持に注力する東京電力は、ソフトバンクなどの通信事業者との提携や各種ポイントサービスとの連携など、自由化開始に向け積極的な提携策を展開している。こうした東京電力の動きに対し、同じガス事業者との提携で足固めを進めた東京ガスは、2020年までに首都圏における大口小口を合わせた全電力需要のうち、約1割に相当する300億kWh(キロワット時)の電力を販売することを目標に掲げている。なお、2013年度の電力販売実績は100億kWhだ。

 東京ガスが電力販売に注力する背景にあるのが、2017年からスタートするガスの小売全面自由化だ。ガスの自由化が始まれば、電力自由化における東京電力のように今度は東京ガスが既存顧客を“守る側”に立つことになる。東京ガスではこのガスの自由化により、同社のガス事業による純利益が現在より縮小していくと見込んでいる。

 このガス事業の縮小分を、2016年4月からの電力の小売自由化に伴う電力販売の拡大や、海外事業の拡大によって補っていく計画だ。こうして現在のガス事業の1本足経営に近い状況になっている事業ポートフォリオを修正し、「総合エネルギーカンパニー」を目指していく(図1)。そのためにも最大市場である首都圏での電力顧客の確保は重要な鍵となる。


図1 東京ガスの事業計画 出典:東京ガス
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