ニュース
日本の温室効果ガス排出量が3%減る、電力の削減効果が大きく:法制度・規制(2/2 ページ)
2014年度に国全体で排出した温室効果ガスは前年度と比べて3.0%少なくなった。特に電力消費量の減少と発電設備の改善によるCO2の削減効果が大きかった。原子力発電所が運転できない状態でも、石油火力の減少と再生可能エネルギーの増加でCO2排出量は減らせる。
LNG火力と再エネが増えて、石油火力が減る
電力会社10社の実績値でも2014年度のCO2排出量は大幅に減少した。2014年度の排出量は他社から受電した分を含めて合計4億5700万トンで、前年度から5.6%少なくなっている(図4)。発電電力量(他社受電を含む)は3.1%の減少だったことから、それを上回って電源構成の変化と発電効率の改善がCO2排出量の削減効果になって表れた。
図4 電源種別の発電電力量と全体のCO2排出量(電力会社10社の受電分を含む合計値。画像をクリックすると拡大)。kWh:キロワット時。出典:環境省(資源エネルギー庁と電気事業連合会の資料をもとに作成)
電源の種別ではLNG(液化天然ガス)火力の比率が前年度から3ポイント上昇、再生可能エネルギーも1ポイント上昇したのに対して、石油火力が4.3%ポイント低下した。今後さらにLNG火力と石炭火力の発電効率が高まり、再生可能エネルギーの比率も上昇すれば、石油火力の減少と合わせてCO2排出量の削減は続いていく。
日本政府がCOP21で合意する予定の2030年の目標値を達成するためには、電力によるCO2排出量を2013年と比べて34%も削減する必要がある(図5)。国全体のCO2排出量のうち電力が占める割合は4割強にのぼり、目標の達成を大きく左右する。このため環境省は電力業界全体で火力発電のCO2排出量を削減する取り組みを推進するように強く求めている。
関連記事
- 電力会社のCO2排出量が2014年度に減少、再生可能エネルギーと火力発電の高効率化
日本のCO2排出量の約4割は火力発電による。東日本大震災後に急増したCO2排出量が徐々に減ってきた。電力会社のうち8社が発表した2014年度の実績では、CO2排出量の最も多い東京電力が前年度比8%の減少になったほか、沖縄電力を除く7社で前年度を下回っている。 - 効率の悪い火力発電は撤廃へ、ベンチマークで電力業界を規制
国全体のCO2排出量の4割以上を占める火力発電に対して、新たな規制の枠組みを導入する方針が固まった。石炭・LNG・石油による発電効率の目標値を設定したうえで、2種類のベンチマーク指標を使って事業者ごとに目標値の達成を義務づける。発電効率が低い老朽化した設備の廃止を促す。 - またも石炭火力発電に環境省が反対、関西電力グループが計画する2カ所
石炭火力発電所の新設に関して政府内の足並みがそろわず、事業者の計画に影響が及んでいる。環境省はCO2削減に対する電力業界の取り組みが不十分であることを理由に、秋田県と千葉県で始まった建設計画を「是認できない」と判断した。同様の問題は愛知県と山口県でも起こっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.