進む太陽光離れ、パネル出荷量は23%減少と失速が顕著に:太陽光
太陽光発電協会は日本国内における2015年度第2四半期(2015年7〜9月)の太陽電池出荷量の調査を行い、その結果を発表した。FITによる買取価格の引き下げなどにより、国内の太陽電池の需要減少が影響したことで、出荷量の減少傾向は加速している。
日本国内の太陽電池出荷量の減少がより顕著に表れてきた。全体出荷量における日本企業の製品比率も低下してきている。太陽光発電協会(JPEA)は、2015年度第2四半期(2015年7〜9月)の太陽電池出荷量の調査を行いその結果を発表した。同期のモジュール総出荷量は1979MW(メガワット)と、前年同期比で23%減少した。第1四半期(同4〜6月)は1737MW、同13%減であり、減少の幅は広がる傾向にあるようだ。
モジュールの内訳をみるとシリコン(Si)単結晶が550MW(同42%減)、Si多結晶が1248MW(同11%減)、その他180MW(同18%減)で、特にSi単結晶タイプの落ち込みが大きい。また、海外出荷は202MWで同12%増加したものの、国内出荷が1776MW、同26%減となり国内市場の低迷が大きく影響している(図1)。
第2四半期のセルの総出荷量も795MWで同38%減と大きく落ち込んだ。Si単結晶が389MW(同30%減)、Si多結晶は405MW(同44%減)、その他が794MW(同38%減)でセル単位で見た場合は、Si多結晶の減少率が大きい。
モジュールの総出荷量における日本企業と海外企業、国内生産と海外生産の比較をみると、日本企業/外国企業の比率は60対40、国内生産/海外生産は34対66であった。海外生産比率は前期(2015年度第1四半期)と同じであったが、日本企業の比率は7ポイント低下して60%となった。これは日本企業のモジュール出荷量が前期比で微増(3%減)であったが、外国企業は36%増となったためである。
国内出荷量では、住宅用の減少がより顕著となっており、前年同期比31%減、前期比11%減となっている。500kW以上の非住宅は堅調で前年同期比4%増であったが、500kW未満の非住宅は前年同期比 で47%減と半減した。国内における太陽電池の需要減少は、固定買取り制度(FIT)の買が価格の引き下げられたことが要因とみられる。
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