福岡県庁の中に商用水素ステーション、燃料電池車の普及促進へ:電気自動車
福岡県庁の敷地内に移動式の水素ステーションが設置された。岩谷産業が手掛ける11カ所目の水素ステーションで、1時間当たり2台の燃料電池車に水素を充填できる。
岩谷産業はこのほど福岡県庁敷地内(福岡市博多区)に、福岡市内で初めてとなる商用移動式水素ステーション「イワタニ水素ステーション 福岡県庁」を開設した。新ステーションは福岡県庁が実施する「移動式水素ステーション運用事業」により商用運転されるもので、同県庁を拠点に燃料電池自動車(FCV)への水素充填を行う(図1)。
新ステーションの設備は水素圧縮機や蓄圧器、ディスペンサーなどで構成されている。圧縮水素を利用しステーション内のコンプレッサーで昇圧し、高圧水素ディスペンサーにより水素ステーションの蓄圧器とFCVの車載容器との差圧を利用して充填を行う。1時間当たり2台の満充填が可能だ。充填圧力は70メガパスカル。営業時間は月曜日が12〜16時、火〜金曜日は10〜16時(金曜日は15時まで)。月曜日が祝日の週は火曜日の営業時間が12〜16時となる。
岩谷産業は四大都市圏を中心に水素ステーションの整備を推進している。2015年度末までに20カ所の建設を計画しており、既に首都圏(芝公園、埼玉戸田、九段)、中部圏(とよたエコフルタウン、愛知県庁、葵、稲沢)、近畿圏(尼崎)、中国(山口周南)、九州(小倉)の計10カ所(定置式6カ所、移動式4カ所)に設置している。なお、4カ所の移動式水素ステーションは同社と豊田通商、大陽日酸が共同出資氏設立した日本移動式水素ステーションが開所したもの。今回福岡県庁に設置したステーションは11カ所目となる。
今後、首都圏では東京(池上)、甲府、東京有明、新横浜。近畿圏で大津、関西国際空港、大阪住之江、大阪森之宮、大阪本町。中部圏で愛知刈谷での開設を予定している。
関連記事
- 水素ステーションはどこまで普及したのか、今後を占う規制緩和と現在地
燃料電池車に注目が集まる一方で、遅れも指摘されている水素ステーションの整備状況は今どうなっているのか。「東京モーターショー2015」と同時開催の「SMART MOBILITY CITY 2015」に出展した水素ステーション普及団体である水素供給・利用技術研究組合(HySUT)のブースを取材した。 - 燃料電池“自転車”が登場、空気を取り込んでペダルをアシストする
ドイツの化学工業メーカーであるリンデグループは、燃料電池を使った電動アシスト自転車のプロトタイプを開発した。 - 水素燃料市場は2030年までに66倍へ、水素ステーションは政府計画の遅れを予測
調査会社の富士経済は日本国内の水素燃料関連市場に関する調査結果を発表。2014年度の市場規模は83億円にとどまるが、2030年度には5447億円規模にまで拡大すると予測。水素ステーションの整備台数については、2016年度末までに累計約100件が設置されると予測している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.