電力自由化で企業間競争が激化、しかし消費者の認知度は1割以下:電力供給サービス(2/2 ページ)
東京ガスは2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向け、一般消費者への自由化に対する意識調査を行った。自由化の認知度は高い一方で、新たな小売市場に参入する企業名の認知度などはまだ低いことが分かった。
期待はやはり料金関連に集中
電力自由化への期待に関する質問に対しては「とても期待している」「やや期待している」が全体の53.3%を占めた。一方「期待していない」と答えた人は11.5%だ。期待する内容については「電気代が安くなること」が88.2%と突出して高く、「電気の購入先を自由に選べるようになること」(53.9%)、「セット料金などの新しい割引が受けられること」(41.2%)が続いた。やはり料金が安くなることへの期待が高い(図3)。
一方で電力自由化に対し「どちらともいえない」もしくは「期待していない」と答えた人に理由を聞いたところ、「変更することのメリットが分からない」(45.7%)、「まだ内容がよく分からない」(32.0%)といった回答が多くを占めた。
年間3000円安くなれば半数が乗り換える
「毎月の電気料金を高いと感じることはあるか」という質問に対して、「とても感じている」「やや感じている」と回答した人が82.1%となった。現在の電気代に関する不満は大きく、これが電力自由化による料金の低価格化に期待が集まる理由の1つになっていると考えられる。
今後電力自由化に知りたい内容についても、最も多かった回答は「いくら得になるのか」(69.4%)だった。次いで「どんなプランがあるのか」(60.5%)、「どんな企業を選べるのか」(48.2%)といった回答も多い。女性回答者は「何を基準に電力会社を選べばいいのか」という点への関心も高い(図4)。
さらに「あなたは年間の電気料金がどれくらい下がれば電気の購入先を変更してもよいと考えるか」という質問に対しては、「少しでも安くなるなら変更してもよい」と答えた人が約3割となる29.2%。また年間3000円安くなるのであれば、全体の45%と約半数の人が電力の購入先を変更しても良いと回答している(図5)。
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