“絞ったぞうきん”は運用でまだ絞れる、13%の電気代削減に成功した節電支援策:省エネ機器(2/2 ページ)
キヤノンMJは、節電支援サービスとして展開する「節電コンシェルジュ」で医療機関および介護事業者向けの節電ソリューションを新たに提供する。
7カ月で100万円の節電を実現
こうした節電ソリューションについては、現実的にはどこまで効果があるのか測りかねるところがあるが、キヤノンMJでは既に先行導入を進めており、これらの導入先で大きな成果を出すことができているという。
先行導入した千葉県船橋市の特別養護老人ホーム船橋百寿苑では、既にLED化などの節電活動により、消費電力量を前年対比14%も削減しており、さらなる節電については難しいことが想定された。しかし、運用を目的としたサービスとして導入を決定。最初に行った節電診断では、年間約90万円のコスト削減と投資回収期間8.3カ月となっていたが、診断に対する削減額は170%を記録。7カ月で100万円のコスト削減に成功したという。成果を伸ばしたのは、電力消費量を分析し節電効果の高い対策案に対しPDCAを回して対策を深めていったことだとしている(図2)。
また、さいたま市の誠愛苑 サンスーシ北浦和でも同ソリューションの導入後半年で大きなコストダウンと電力使用量の削減を実現。施設の電気設備を洗い出し、運用改善ルールの作成など総合的な見直しを行った結果、「節電コンシェルジュ」を導入してから6カ月間で前年比32万円の削減効果が出たという。想定以上のコスト削減に加え、電力使用量では診断予想による削減量2万2000kWh(キロワット時)の約70%の削減を半年で達成。8.15トンのCO2を削減できたとしている。
キヤノンMJでは今後、このソリューションの導入経験を生かし、高圧小口電力契約数の多い老人介護福祉施設や病院を中心に拡販する方針だ。また、同ソリューションのノウハウを生かし、ホテル、ドラッグストアなど業種別に展開し、2020年までに1000事業所への導入を目指すとしている。
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