ニューヨークが再生エネで「電力の50%」、2030年に:法制度・規制(2/2 ページ)
米国の再生可能エネルギーでは、カリフォルニア州の動向が注目を集めている。だが、全米第一の都市を抱えるニューヨーク州も負けてはいない。電力の50%を再生可能エネルギー由来とする計画を進める他、地球温暖化ガス削減やゼロエネルギービル普及にも取り組む。
再生可能エネルギーを推進中
ニューヨーク州は、再生可能エネルギー利用や温暖化ガス排出規制について、SEP発表以前から行動を進めている。
クオモ知事はこれまで「エネルギー改革ビジョン(Reforming the Energy Vision:REV)」を掲げてきた。クリーンエネルギーの導入は経済的な機会拡大であると位置付けている。再生可能エネルギー由来の電力をより多く取り入れることで同エネルギーの価格を引き下げるだけでなく、関連産業の発展を目指してきた。
REVは発電政策や運輸政策を通じて実行段階にある。例えば「NY-Sun」政策だ。NY-Sun政策の目的は、より柔軟な電力系統を安価に作り上げ、地球温暖化ガスの排出量を下げることだ。具体的には住宅から商業設備、メガソーラーまで太陽光発電の普及拡大を促す。2014年には太陽光発電プロジェクトに対する助成金10億米ドルを用意している(図3)。
この他、民間部門と協力して再生可能エネルギー計画の資金調達市場を改善する「NY Green Bank」政策や、幼稚園からハイスクールまで学校単位で太陽光発電の導入を促す「K-Solar」政策などがある。
米国初の取り組みである「NY-Prize」政策は意欲的だ。地域の系統を低コストで改善するために4000万米ドルの賞金を与える。停電の際に独立して動作するマイクログリッドを州全域に配置するアイデアが候補となった。
このような政策を通じて、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガスの排出削減を目指してきた。目標は、2030年までに30%削減(2005年基準)である。
計画をさらに加速
既存のREVと、SEPに基づく今回の発表の違いは何か。再生可能エネルギー由来の電力比率を高める達成目標を2020年と限定したことと合わせ、温室効果ガスの排出量削減目標をより高くした。
従来よりも削減比率が10ポイント増えたことに加えて、1990年の排出量は2005年よりも少ない。より達成しにくい目標値になったといえるだろう*1)。
なお、クオモ知事は州の原子力政策を今回の計画と結び付けることはしないとしている。同知事は書簡のなかで、州北部に位置する原子力発電所の早期停止を否定している。今すぐに廃止すると火力発電で代替することになり、二酸化炭素排出量が増えるからだ。再生可能エネルギーの比率を50%まで高める目標と、原子力発電の維持は異なる問題だとした。
*1) ニューヨーク州の発表した統計「New York State Greenhouse Gas Inventory and Forecast: Inventory 1990-2011 and Forecast 2012-2030」によれば、1990年の温室効果ガスの排出量は230.76二酸化炭素等価メガトン(うち、二酸化炭素は204.6メガトン)、2005年の排出量は256.89二酸化炭素等価メガトン(うち、二酸化炭素は227.7メガトン)だった。
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