強まる省エネ規制にどう対処するか、悩める担当者を救う“武器としてのIT”:省エネ機器(3/3 ページ)
東京ビッグサイト共同開催された「システムコントロールフェア2015」と「計測展2015 TOKYO」では、今後さらに高まっていく省エネ需要に向けたITソリューションが複数披露された。本稿ではその一部を紹介していく。
対象設備やメーカーの種類は不問! 多拠点管理を容易に
日立製作所は同社が2014年に刷新したエネルギーマネジメントサービス「EMilia(エミリア)」を展示した(図5)。エミリアはこれまで工場やプラント、ビル、街区などの用途別に展開していた各ソリューションを統合したもので、エネルギーおよび設備の統合マネジメントサービスだ。
従来は工場やビルなど管理対象が異なる場合、それに伴いエネルギーマネジメントシステムも個別に用意する必要があり、所有する多くの施設を管理したい場合、コスト面や運用・管理面での負担が大きくなってしまうという課題があった。エミリアはこうした課題に応えるサービスで、1つの企業が業種や規模・対象設備、メーカーを問わず同じプラットフォーム上で多拠点を統合管理できる。システムの構築は日立のクラウドセンターを利用するパブリッククラウド型、ローカルサーバー型、これらを組み合わせたハイブリッド型から用途に応じて選択可能だ。
まずはエネルギー管理の第1歩ともいえる“見える化”からスタートし、徐々にデータの分析やその結果を活用した高度な制御を行っていくというように、スモールスタートが可能だ。さらにエミリアを導入したユーザーだけでなく、メーカーやコンサルティング企業なども、アクセス権限に基づいてデータの閲覧や機能の利用を可能にしている点も大きな特徴になっている。これにより省エネ診断や設備運用・更新計画などの効率化を図れるメリットがあるという。
エネルギーの“見せる化”で、全員参加型の省エネを
施設の省エネを推進――といっても、管理部門や担当者などの限られた人だけの省エネ意識が高いだけでは、効果的な省エネを実践することは難しい。その施設を利用する多くの関係者の省エネ意識を高めることが重要だ。こうした課題に向けてパナソニックが2015年4月から展開しているのが、エネルギーの“見せる化”ソフト「EnerVisualizeR(エネビジュアライザ)」だ(図6)。
EnerVisualizeRは、エネルギー情報の共有に特化したシステムで、従来は管理部門のみが把握していたエネルギー使用量などを施設内に設置したディスプレイに映し出せる他、PCやスマートフォンなどからも確認できる。個々の端末に専用ツールをインストールするといった作業も不要だ。
1分ごとのエネルギー使用状況を確認できる他、時間内使用量、予測値、目標値などのより細かく分析したデータなども閲覧できる。工場に隣接した事業所やオフィス、病院などへの採用が進んでいるという。
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