広がる水上メガソーラー、パネルを浮かべる「フロート」大手の株式取得:太陽光
日本各地に残る農業用のため池などを活用した水上設置型メガソーラーの建設が進んでいる。東京センチュリーリースは水上太陽光発電事業のさらなる強化に向け、パネル設置用の「フロート」を開発する仏シエル・テール・インターナショナルの普通株式を取得した。
東京センチュリーリースは水上太陽光発電事業の強化に向け、太陽光パネルなどを水上に浮かべるフロートの開発を手掛ける仏大手のシエル・テール・インターナショナル(以下、シエル・テール)から、同社の普通株式の15%(取得株式数883株)を2015年12月15日に取得した。
東京センチュリーリースと京セラが共同設立した京セラTLCソーラーは、シエル・テールより水上架台(水上に太陽電池モジュールを設置するための浮体構造物、フロート)の提供を受け、2014年8月から水上太陽光発電事業への取り組みを開始している。
これまでに稼働した発電設備は、兵庫県加東市の西平池(図1)、東平池や兵庫県加西市の逆池(さかさまいけ)の3カ所。合計約5.2MW(メガワット)の水上設置型メガソーラーを稼働させている。現在は千葉県山倉ダムで、水上設置型では世界最大級となる約13.7MWの発電設備の開発も進めているところだ。
全国各地で太陽光発電の導入が進みメガソーラー発電所の適地が減少していることや、固定価格買取り制度(FIT)の買取り価格引き下げに伴い、陸上太陽光発電事業の開発は徐々に落ちついていくと予想される。その一方で、年間を通じて降水量の変化が大きい日本では、農業用のため池、河川増水時の調整池など全国に多くの池があり、これらを有効活用する水上太陽光発電事業は、水冷効果により発電効率が向上することなども含めて、今後も成長が期待されている。
シエル・テールのフロートは同社が開発特許を持ち、日本国内だけでなく、フランス、イギリス、タイ、韓国など、世界各国で豊富な稼働実績がある。今後、東京センチュリーリースが京セラと共同で太陽光発電事業のグローバル展開を検討していくにあたり、水上太陽光発電事業におけるシエル・テールの技術や実績の必要性を考え、今回の株式取得を通じ、パートナーシップを更に強化することとした。
シエル・テールは2013年に設立。本社所在地はフランス・リール。水上太陽光発電システムの販売・設置・メンテナンスを行う。資本金50万ユーロ(約6600万円)。
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