エネルギー事業で地域に貢献、「新電力おおいた」が高圧向けに電力供給:電力供給
2016年4月からはじまる電力の小売全面自由化を前に、全国各地で地域新電力会社が発足している。大分県由布市に本拠を置く新電力おおいたは、エネルギーの地産地消や再生可能エネルギーの普及促進に貢献して地域活性化を目指している。2016年4月からは高圧需要家向けの電力供給を開始する計画だ。
大分県由布市の地域新電力会社である新電力おおいたは、2016年4月から公共施設や商業施設などの高圧需要家向けに電力供給を行うことを発表した。既に契約予約の受付を開始している。
同社は2015年8月に設立。「エネルギーの地産地消(地域単位で電力の需給契約をし、地域に経済効果を)」「自然エネルギーの普及(集中型電源から分散型エネルギー社会への転換)」「地域活性化(HEMSを活用したスマートコミュニティの形成)」という設立理念のもとに、地域の企業、自治体、金融機関などと連携し、地域社会への貢献を目指している。
2011年に発生した東日本大震災以降、日本国内では原子力や火力発電を中心とした集中型電源社会から、再生可能エネルギーをミックスした分散型エネルギー社会へ転換しようとする動きが進みつつある。新電力おおいたも「ソーラーファーム由布」「ソーラーファーム佐伯」などのメガソーラー発電所と契約し、再生可能エネルギーの普及に取り組む予定だ。
さらに、大分県佐伯市ではスマートコミュニティ社会実験を推進している。これは、新電力おおいたを含む地元企業9社と佐伯市が参加する、大分県エネルギー産業企業会電力自由化ワーキンググループの活動事業。佐伯市内の家庭120軒にHEMSを、佐伯市所有の10件の高圧施設にBEMSを取り付け、地産地消による電力の需給シミュレーション、HEMSによる見守りや防災アナウンスといった行政サービスの社会実験を行う(図1)。
同社ではこうした社会実験を通じて、HEMSを活用した家庭などの低圧需要家への電力供給ビジネスにつなげる方針だ。2016年10月からは低圧需要家への電力供給も計画している。
関連記事
- 日本で人口2番目の県とJリーグチームが「電力地産地消」でタッグ
神奈川県と電力の効率的利用をサポートするエナリスおよびエナリスの子会社、湘南電力の3者は、神奈川県内の電力の地産地消を連携して進めることを目指してこのほど協定を締結した。 - 「おんせん県」は地熱発電だけじゃない、山と海からバイオマスと太陽光
地熱発電の導入量で全国トップの大分県では、地域の森林資源を生かした木質バイオマス発電のプロジェクトが活発に始まっている。農林水産業と連携して地産地消型の再生可能エネルギーを拡大する取り組みだ。新電力も参画して、電力会社に依存しないエネルギー供給体制が着々と広がる。 - 大分と熊本の県境に地熱発電所、5MWで2015年に運転開始
日本最大の地熱発電所の近くに、新しい地熱発電所を建設することが決まった。九州電力グループが「阿蘇くじゅう国立公園」に隣接する地域で計画しているもので、事前調査を終えて地元の自治体と基本協定を締結した。2014年3月に着工して、2015年3月に運転を開始する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.