関西電力と比べて最大5%安く、大阪ガスが「ガス発電プラン」も:電気料金の新プラン検証シリーズ(2)(2/2 ページ)
東京ガスに続いて大阪ガスも家庭向けの料金プランを発表して、1月4日から契約申込の受付を開始した。関西電力のサービスエリアを対象に、都市ガスとセットの2年契約で最大5%を割り引く。月間の使用量に応じて4段階の単価を設定した。標準家庭よりも使用量が多い場合に割安になる。
「ガス発電プラン」の単価はさらに低く
大阪ガスは2つ目に「家庭用ガス発電プラン」を用意した。都市ガスから水素を作って発電する「エネファーム」やガスエンジンで発電する「エコウィル」を利用している家庭が対象になる。いずれもガスで電力と温水を供給できる製品で、通常の家庭よりも電力の使用量は少なくて済む。ベースプランAよりも基本料金・電力量料金ともに低い単価を設定してガス発電の導入を促進していく(図5)。
月間の使用量が200kWhで計算すると、電気料金は月額5112円になり、関西電力の従量電灯Aとピッタリ同額になる。200kWhを超えてから割安になるプランだ。ただし都市ガスとのセット割引や2年契約の割引は適用できない。電力と温水の利用量が多い家庭に向いている。
3つ目の「ベースプランB」は一般の家庭よりも電力の使用量が多い商店や事務所を対象にしている。関西電力の「従量電灯B」に相当するプランである。
関西電力では月間の使用量が800kWhを超える場合に従量電灯Bの契約を推奨している(図6)。最低でも標準家庭の3倍の使用量が適用条件になる。
両社の料金体系を見ると大きな違いがあるため、単純な比較はむずかしい。関西電力の従量電灯Bは基本料金と3段階の電力量料金を設定している。これに対して大阪ガスのベースプランBは最低料金が決まっていて、契約電力や電力使用量が超過した場合に追加で料金が発生する仕組みだ(図7)。
ベースプランBの最低料金は月額で1万3022円と高く、契約電力は6kVA(キロボルトアンペア)以上である。6kVAは6kWに相当する。関西電力の従量電灯Bでは6kVAの場合で基本料金は2333円で済む。電力量料金の単価は300kWhを超えるとベースプランBよりも1%高くなる。月間の使用量がかなり多くないと、ベースプランBの電気料金は割安にならない。
大阪ガスは1月4日から、3種類の料金プランの契約申込を受け付けている。対象になるエリアは関西電力に合わせて2府7県に及ぶ(図8)。東日本大震災後に関西電力が2回の値上げを実施したことで利用者の不満は高まっている。特に都市ガスを併用している家庭や商店には、最大5%の割引率は魅力的に映るだろう。都市ガスの小売全面自由化が始まる1年後の2017年4月までに、どのくらいの家庭・商店が契約を切り替えるか注目だ。
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