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再エネ変動対策の決め手か、北海道で6万kWhの大規模蓄電池の実証を開始:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
北海道電力と住友電気工業が共同で進めてきた南早来変電所における大型蓄電システムの設置工事が完了し、2015年12月から実証試験を開始した。
再生可能エネルギー導入を側面支援する救世主へ
北海道では、風力発電や太陽光発電など自然エネルギーを生かした再生可能エネルギーの導入が盛んだが、これらの電力は季節や時間帯で変動するという課題を抱えている(関連記事)。同時同量の法則を実現するためには、変動量を吸収する調整のための仕組みが必要となる。従来は火力発電や水力発電などをバッファとして活用してきたが、再生可能エネルギーの発電量が増えるにつれて、吸収しきれなくなる問題が生まれてきた。そのため接続制限などの動き(関連記事)につながったわけだが、これらを解決する仕組みとして注目されているのが大規模な蓄電システムである。
今回の実証試験では、大容量のレドックスフロー電池でこれらの課題を実際に解決できるかという点を中心に実証試験を行う。
具体的には、従来火力発電や水力発電が担ってきた周波数調整機能と大型蓄電システムを組み合わせることにより、周波数調整力に与える効果を検証し、周波数変動抑制制御手法の開発を行う。また、風力発電や太陽光発電の出力予測に基づき、大型蓄電システムを効果的に運転することにより、再生可能エネルギーの出力増加で生まれる余剰電力を減少させる効果を評価。余剰電力(下げ代)対策運転手法の開発を進めていく。さらにレドックスフロー蓄電池の性能評価そのものも実証する(図4)。
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