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管内2000万世帯は草刈り場か、東電が売りたい電力以外の価値:電力供給サービス(3/3 ページ)
2016年4月から始まる電力小売全面自由化に対し、企業間競争が最も激しくなると見られているのが関東エリアである。東京電力が独占してきた関東電力市場だが、市場開放後は競合は真っ先にこの市場を狙う。東京電力は何を狙うのだろうか。
ポイントは「新規分野」をどう伸ばすか
最大市場を独占してきた東京電力の現状を見ると、「既存エリアの電力事業」を考えた場合、競合からの切り崩しの影響をゼロに抑えることは難しい。また、新料金プランなどを考えても、ポイント割引やセット割なども原資と考えた場合、基本的には収入は減少する傾向にあるといえる。
そのため、企業としての維持・成長を考えた場合、既存エリア・既存分野以外をどう伸ばすかが最大のポイントとなっている。この中で新規エリアについては、仮に20万件を獲得したとしても、関東圏の2000万世帯の中での切り崩しの影響を考えると、成長の原動力とするのは難しいと考えられる。
そう考えると、成長のカギを握るのは「新規分野」ということがいえる。小早川氏は「新規分野で最も意識しているのはガスだ。ガスの小売自由化については制度設計がまだ確定していない部分もあるが、参入できるようになり次第、ガスの直接販売を開始する。燃料調達で見た場合、当社は東京ガスの2倍の調達力を持っており、ガスについても最終的な価格競争力を発揮することは可能だと考えている」と述べる。
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