エアコン事業1兆円を目指すパナソニック、大型空調強化へ:省エネ機器(2/2 ページ)
パナソニックがクローバル市場で拡大が見込まれている空調機器分野への取り組みを強めている。同社の2014年度のエアコン事業の売上高は4606億円(製販連結)。これを2015年度には5133億円まで引き上げる計画だ。
パナソニック電工、三洋電機グループを併せた総合力
営業面では国内では従来のルートにプラスして旧パナソニック電工の電材や設備代理店などの販売ルートを活用した取り組みを強化している。代理店やユーザーに実機を直接体験してもらうため2015年9月には大型空調機器の主要生産工場がある群馬県大泉町のエアコンカンパニー内に非住宅施設向け空調・換気設備のショールーム・研究施設「Air Quality Labo」を新たに開設した。
ショールームにはPAC(オフィス・店舗用エアコン)、VRF、室内機(室内ユニット)、エコナビ、RAC、GHP(電源自立型GHPエクセルプラスシステム説明用ジオラマ、エグゼアIIなど)吸収式冷凍機、集中制御(コントローラーラインアップなど)など同社製品を一堂に紹介しており、来場者もそれまでと比べて大幅に伸びているという(図1)。
この他、コールドチェーン事業のコンビニエンスストア向けのショーケースや照明、セキュリティ機器など、同社の扱う幅広い製品と合わせたトータル提案を行っている。さらにクラウドサービスを利用した故障予知の遠隔監視などのメンテナンスサービスを合わせたビジネスモデルを構築している。このように2012年のパナソニック電工、三洋電機との事業再編後のグループの総合力の強みを生かした取り組みが大型空調事業拡大のカギとなりそうだ。
好調なマレーシアでの体制を強化
一方、海外マーケットでは「中国、アジア市場は基本的には自前で対応。それ以外の地域はアライアンスを検討するなど、地域別の取り組みを進めている」(石原BU長)。グローバル戦略の拠点となるマレーシアには2015年、同地区の高効率な大型空調システムのソリューションに対応する需要への対応を目指してパナソニックアプライアンス エアコンディショニングシステムエンジニアリング マレーシア社(PAPASEMY)を設立するなど生産・販売だけでなくサービス面のサポート体制も整えている。同地区ではRACのシェアが高いこともありPAV、VRFの動きも好調だ。この他、主要マーケットの中国、欧州も堅調に推移している。
さらに海外マーケットからもガス空調の引き合いが高まっていることから同製品をはじめとした製品群をより詳しく知ってもらうため、工場などの各拠点や、販売会社にはショールームやサービスセミナーが行えるように施設を順次設けていく計画だ。
こうした取り組みでパナソニックではエアコン事業をできるだけ早い時期に売上高1兆円を目指す。
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