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電気契約でガソリンを10円引き、600kWh超で東電より安い昭和シェル石油:電気料金の新プラン検証シリーズ(13)(2/2 ページ)
2016年4月から小売電力市場に参入する昭和シェル石油が料金プランを発表した。電気契約を結ぶと東京電力管内で給油した場合、ガソリンなどの価格が1リットル当たり最大10円引きになる。月に600kWh以上の電力を使った場合、電気料金も1kWh当たり1円安くなる。
東京ガスと共同でLNG火力を建設
昭和シェル石油は販売する電力をどこから調達するのか。同社は2003年から電力事業を開始し、2008年に自由化された高圧電力市場に参入。以降、2010年に東京ガスと共同で横浜市に火力発電所の「扇島パワーステーション」を建設するなど、電力事業の拡大を図ってきた(図4)。
扇島パワーステーションはガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)方式で電力を供給する天然ガス火力発電所で。2010年3月に1号機、2010年7月に2号機が運転を開始している。増設した3号機もあわせると発電能力は約1221MW(メガワット)で、このうち昭和シェル石油分は300MWだ。
再生可能エネルギーにも注力
同社では再生可能エネルギーによる発電設備の建設も進めている。石油事業の遊休地を活用したメガソーラーを全国で18カ所運営している他、2015年11月には神奈川県川崎市の工業地帯に建設した「京浜バイオマス発電所」の営業運転も始まった(図5)。燃料に木質ペレットを利用する同発電所の発電能力は49MWで、国内では最大級の木質バイオマス発電所だ。年間発電量は一般家庭8万3000世帯分の年間使用電力に相当する3億kWhを見込んでいる。昭和シェル石油が100%出資する「京浜バイオマスパワー」が運営を行っている。
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