太陽光パネルの検査を片手で可能に、ハンディ型の傷検査装置が登場:太陽光
システム開発の電子工学センター(EEC)は、ハンディ型の太陽光パネル傷探査装置「ソクラテスターPortable(ポ−タブル)」を、太陽光パネルメンテナンス事業者および太陽光パネルメーカー向けに開発した。2016年2月1日から受注を開始する。
ソクラテスターPortable(以下、ソクラテスター)は、渦(うず)電流磁気誘導方式を利用した「世界初」(同社)のハンディ型の太陽光パネル傷探査装置(特許出願中)だ(図1)。
一般的に太陽光パネルのメンテナンス作業は、発電している状態で、電圧・電流測定・サーモグラフィーによる検査などが行われている。その際、故障と思われるパネルが見つかった場合、設置場所から取り外し、大容量の電源が必要な傷探査装置を使って個別に検査する必要があった。一方、ソクラテスターは電池駆動(単三形アルカリ電池4本)のハンディ型で、その場で手軽に傷探査を可能にした。
使い方は、まず電源を入れて太陽光パネルにソクラテスターを当ててスライドさせる。パネルの傷を検出すると、本体のLEDが点灯しブザー音で知らせる仕組みだ。メーカー工場、一般家庭に設置したパネルまで、専門技術者に頼らずに傷探査ができるところが大きな特徴である。
サイズは幅85.5×奥行170×高さ49ミリメートル。重量も約600グラム(電池重量を含む)とコンパクトで片手でも持てる。オプションの延長棒を利用することで、離れた場所や高所の傷探査にも対応可能だ。
また、使用用途も太陽光パネルの点検検査をはじめ太陽光パネル設置時の初期不良検査、太陽光パネル出荷検査、入荷受け時の製品検査、リユース太陽光パネルの製品検査と幅広い。対象パネルはシリコン結晶型(単結晶、多結晶)で、同社では今後その他の太陽光パネルについても対応できるよう製品開発を続けて行く方針だ。なお、同製品は裏面電極のひび割れを検知するもので、フロントカバーガラス、バックシートなどの割れ、傷などは検知しない。
関連記事
- パネル掃除や断線検査をロボットで、太陽光設備の運用保守を低コストに
太陽光発電設備のメンテナンス手法の1つとして、ロボットの活用に注目が集まっている。人手によるメンテナンスコストを削減できるなどのメリットがあるからだ。先日開催された「2015 国際ロボット展」では、複数の太陽光パネルのメンテナンスロボットが披露された。 - 監視・保守・保険、3つのサービスが太陽光発電所に必要
太陽光発電システムを開発・販売するLooopは2014年7月28日、太陽光発電所の遠隔監視と保守管理、損害保険という3つのサービスを組み合わせた「まもるーぷ」を発表した。出力が200kWの場合のサービス料金は年間88万円。 - 太陽光の故障診断をその場で実現、シャープがソフトを開発
太陽光発電システムは故障が目に見えにくい。これは保守要員にとっても同じことだ。シャープエンジニアリングは測定器と連携して、測定結果をスマートフォンに表示するソフトウェアを開発、診断から修理までに要する時間の短縮に役立つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.