発電量が最大1.3倍に、パネルが太陽を追いかける「自動追尾システム」:太陽光
多摩川ホールディングスグループは、メガソーラー「袖ヶ浦発電所」(千葉県袖ヶ浦市)の敷地内に、同グループ初となる自動追尾システムを採用した太陽光発電設備を設置した。従来のパネル固定型の設備と比較して、総発電量が約20〜30%増加する見込みだという。
今回採用したのは台湾のTopper Sun社の多方位十字軸自動追尾システムで、全自動で太陽光パネルの最適な角度調整を行い、常に正面から太陽光を捉えることにより集光率を高める(図1)。太陽光エネルギーを最大限活用し発電効率を大幅に向上することで、従来のパネル固定型の発電システムと比べて、総発電量は約20〜30%増加する見込みだという。
設置した設備の発電容量は約12kW(キロワット)、売電価格は32円としている。なお、袖ヶ浦発電所の敷地面積は1500平方メートルで、全体の発電容量は約1.3MW(メガワット)となっている。近年、太陽光発電の固定買取り価格は下がる傾向にある。そこで同グループでは追尾システムの導入による発電の効率化と、これが与える太陽光発電の事業採算性への影響などについて検証を進めていく計画だ。
多摩川ホールディングスは太陽光発電を中心に再生可能エネルギー事業を積極的に展開している。グループ会社の多摩川エナジーは太陽光発電システムの計画から設計、施工、検査、運用、メンテナンスまでを手掛けている。
今後のメガソーラーの設置予定としては、長崎県五島市に特別高圧で連系する約5.3MWの発電所の他、青森県三沢市で合計約10MWの発電所の建設・運営を計画している。この他2016年1月には「水素電力事業準備室」(仮称)を開設し、水素関連ビジネスにも参入する方針だ。
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