東芝が“地産地消”で電力小売事業へ、東京電力より5%安く:電力供給サービス
東芝は2016年4月からの小売全面自由化に伴い、神奈川県で「電力の地産地消」を取り入れた電力小売事業を行っていく。グループ会社の東芝プラントシステムが県内で運用する太陽光発電設備から電力を調達し、神奈川県内の需要家に対して現在の東京電力の料金より安い価格で電力を販売するという。
東芝が取り組む、電力の地産地消と小売電力事業を組み合わせたモデル事業が2016年1月30日から始まった。神奈川県平塚市にある東海大学柔道部寮3棟の屋根に、東芝プラントシステムが合計出力47.5kW(キロワット)の太陽光発電設備を設置した(図1)。東芝プラントシステムは発電した電力を東芝に売電する。東芝は2016年4月からこの電力を、県内の需要家に現在の東京電力の料金より5%程度安い価格で供給していくという。
このモデル事業は神奈川県が公募した「平成27年度 地域電力供給システム整備事業」に東芝と芙蓉総合リースが採択されたものだ。芙蓉総合リースは、今回の事業において資金調達などの役割を担当している。
屋根を貸し出す東海大学は、東芝から毎年賃料を受け取ると同時に、2016年4月からは現在の東京電力より安い電気料金を購入できる(図2)。いわゆる「屋根貸し太陽光発電」のモデルを活用し、電力の地産地消と安価な電力供給を同時に実現していくという仕組みだ。
東芝は2016年1月から柔道部寮の屋根で発電した電力を、まずは工場、事務所ビルなどの高圧需要家向けに供給していく。小売全面自由化が始まる同年4月から、この柔道部寮をはじめ一般家庭向けにも供給を行う計画だ。設備の発電量が不足する場合には、電力卸売市場などを活用して不足分を補っていく。
発電コストなどを考えると電力販売だけで大きな収益は見込めないだろう。そこで東芝では同時に同社のエネルギー関連製品の拡販も図っていく。学校や病院、住宅などさまざまな施設を対象に、東芝製の太陽光発電システムや照明、空調システムと、安価な電力供給をセットで提案していく方針だ。この事業では「今後3〜4年で、売上高200億円を目指す方針」(同社広報)としている。
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