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日本初の空港内水素ステーションが登場、1時間でFCV6台に供給可能:蓄電・発電機器
水素社会の早期実現に向けて商用水素ステーションの整備に取り組んでいる岩谷産業は、このほど空港施設に隣接した水素ステーションとしては日本初となる「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」を開設した。
「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」(大阪府田尻町)は、新関西国際空港が「環境先進空港」を目指して推進している「スマート愛ランド構想」の柱の1つである「水素グリッドプロジェクト」の一環として計画を進めていたもの。新関西国際空港から土地の提供を受け、岩谷産業が建設を行った。
敷地面積は2479平方メートル。建物は空港内の水素ステーションであることから、翼をイメージしたキャノピー(屋根)を採用し、斬新なデザインとなっている。設備としては液化水素貯槽、ドイツのLinde社製水素圧縮機、蓄圧設備、ディスペンサーなどをそろえている。
水素は、同社の液化水素製造拠点であるハイドロエッジ(大阪府堺市)からローリーで輸送し供給する「液化水素オフサイト方式」を採用する。供給能力は燃料電池自動車(FCV)で300ノルマル立方メートル/時、1時間当たりFCV6台の満充填(じゅうてん)が可能だ。充填圧力は70メガパスカル(約700気圧)となっている。また、同ステーションには、大型のデジタルサイネージを設置したイベントスペースを併設しており、今後は、セミナーや見学会など、水素エネルギー社会の早期実現に向けた啓発活動を行う場として積極的に活用して行く予定(図2)。
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