ローソンが“揚げもの廃油”でバイオマス発電、店舗の調達電力を7割削減:自然エネルギー(2/2 ページ)
コンビニ大手のローソンが兵庫県姫路市の店舗にバイオマス発電システムを導入した。揚げもの商品の調理で発生する廃油を活用して発電し、店舗の電力として使うことで省エネ化を図る。発電量は既存店舗の消費電力の約20%に相当する年間3万6000kWhを見込んでいる。こうした創エネに加え、徹底した省エネ施策も導入して調達電力を7割削減する。
創エネ+省エネ+人工知能で7割削減
新店舗における創エネについてはバイオマス発電システムに加えて、太陽光発電設備を導入した。出力12kW(キロワット)相当のパネルを店舗の屋上に設置し、このうち約2kW分を店舗の電力として利用する。残りの10kW分は売電する予定だ(図3)。バイオマス発電システムと太陽光発電設備の合計で、既存店舗の消費電力の約27%相当を再生可能エネルギーでまかなえる。
省エネについては約10種類の施策を導入している。コンビニなどの食品を扱う店舗で電力消費量の多くを占めるのが、長時間使用する照明、さらに要冷ケースと冷凍冷蔵機が挙げられる。新店舗ではショーケースに扉を付けて冷気漏れを防ぎ、さらに断熱材を強化して断熱性能も高めている。冷凍冷蔵機には規制強化が進むフロンタイプではなく、CO2冷媒タイプを導入した。照明には制御機能を搭載するLED照明を採用している。これで約34%の省エネが図れるという。
この他には二重窓や空調への放射パネルの採用、店舗の西側外壁に光触媒テントを張って壁面の温度上昇を抑制するなど、熱に関連した省エネ施策も複数導入した。店舗の基礎や外壁にも断熱性能の高い材料を使用するなど、徹底した“熱対策”を施している。
さらにこの新店舗には店内外の各所にセンサーを設置している。このセンサーが各エリアの環境を検知し、この情報をもとに人工知能が各種機器を自動制御して最適なエネルギーマネジメント行うという。
これら全ての創エネ、省エネ施策を導入することで、既存店舗と比較して調達電力を約67.9%削減する狙いだ。ローソンは2008年から環境配慮モデル店舗の設置を開始しているが、この削減量は過去最大になる(図5)。同社ではこうした環境配慮モデル店舗で収集した実験データやノウハウを、既存店舗の省エネなどに活用していく計画だ。
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