ニュース
海底に沈め海水で冷やすデータセンター、マイクロソフトが実証:省エネ機器(2/2 ページ)
拡大するデータセンターの大きな課題となっているのが、サーバが生み出す熱とその冷却に要する電力の問題だ。その問題に対し、ユニークな解決策の実証に取り組むのがマイクロソフトの「Project Natick」である。
海底型データセンターの利点とは?
「Project Natick」で実現する海底データセンターは、データセンターの配置から稼働まで90日間で実現するなど、素早い展開が可能だという。そのため自然災害や大規模なスポーツイベントなど特別にデータアクセスが集中するような状況に迅速に対応できる。また、世界人口の約50%が海から200キロ以内に住んでいるということを考えれば、データセンターまでの距離は非常に近く、遅延を抑えて快適な応答性を実現することが可能となるという。
「Project Natick」は現在は研究段階にあり、実際に運用を評価するような段階はまだ先のことだとしている。ただ、現状の海底で冷やすというだけでなく、さまざまな環境性に優れた機能の搭載を進めている。例えば、完全なリサイクルを実現するデータセンターの実現や、外部からエネルギーを調達することなく再生可能エネルギーによる自家発電でゼロエミッション型のデータセンターを実現することを目指している。
今回のプロジェクトでの研究は現在搭載されているコンピュータが寿命を迎える5年をめどとしているという。その後は新しいコンピュータを搭載し、再設置を進める計画だ。最終的には20年間の目標寿命の達成を目指すとしている。
ちなみに「Natick」とはマサチューセッツ州にある町の名前である。開発コードネームであり、特別な意味はないという。
【動画】「Project Natick」の概要(英語)
関連記事
- エアコンを使わないデータセンター、青森の雪でPUE1.2クラスの超省エネを実現
青い森クラウドベースは、青森県六ケ所村に建設するデータセンターの着工式を実施した。サーバルームの冷却に雪と外気を利用する点が特徴で、2015年11月に完成予定だという。 - データセンターに省エネが求められる理由
シュナイダーエレクトリックは2015年5月15日、2015年の事業戦略について説明するとともに、データセンターに求められる技術動向について紹介した。 - 風力100%のデータセンター、フェイスブックが米国アイオワ州で運営開始
データセンターの省エネに取り組むフェイスブックが米国で4番目のデータセンターを稼働させた。エネルギー効率の高い機器類と外気を活用した冷却システムを導入する一方、データセンターで使用するすべての電力を近隣の風力発電所から購入する。 - グーグル、フェイスブック、アップルが自然エネルギーに切り替える理由
米国の大手IT企業が自然エネルギーの導入プロジェクトを加速させている。大規模なデータセンターを数多く必要とするクラウド・サービスの拡大によって、エネルギー需要が世界的に急増しているためだ。企業がどのような「電源」を選択しているか、という問題もブランド価値に影響を及ぼし始めた。 - 世界の70%の情報が集積する街に、「再利用水」で躍進したデータセンター誘致
多くのデータセンターが集積し、全世界のインターネット・トラフィックの約70%が流れ込んでくるという米国バージニア州ラウドン郡。データセンターの集積地として同郡が躍進した背景には、環境規制に対応するための水の再利用への取り組みがあったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.