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市民電力や生協が続々と小売電気事業者に、再生可能エネルギーを家庭へ:電力供給サービス(2/2 ページ)
小売電気事業者に21社の登録が新たに認められて、事業者数は合計で169社に拡大した。その中でも再生可能エネルギーによる電力の地産地消を目指す自治体や生協の参入が目立つ。自治体では鳥取市と福岡県みやま市、生協では東京都と兵庫県の事業者が家庭向けにも電力を販売する計画だ。
太陽光から風力・地熱・バイオマスまで
生協では大阪府の「大阪いずみ市民生活協同組合」に続いて、新たに2つの事業者が加わる。1つは兵庫県を中心に生活必需品を販売する「コープこうべ」である。グループ会社が運営する太陽光発電所や宮崎県のバイオマス発電所から電力を調達して、4月から生協の店舗や協同購入センタ―を対象に供給を開始する(図4)。その後に電力の調達量を拡大したうえで組合員の家庭にも提供する計画だ。
コープこうべグループの太陽光発電所は現在10カ所で運転していて、年間に400万kWh(キロワット時)程度の電力を供給できる能力がある。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると1000世帯分を超える。
生協関連のもう1社は関東圏を中心に電力を販売する「生活クラブエナジー」である。2015年4月から生協の事業所に電力の供給を開始した。2016年4月には組合員を対象にした電力の販売を首都圏から開始する予定だ。母体の「生活クラブ」は生協の連合体で、小規模な太陽光発電所や風力発電所を全国各地に数多く展開している。
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