省エネを強力に後押し、全事業者を4段階にクラス分けする新評価制度開始へ:省エネ機器(3/3 ページ)
国際的な地球温暖化対策などの影響もありあらゆる事業者にとって「省エネ」は既に避けられないテーマとなっている。政府も省エネ促進に向けさまざまな施策を打ち続けているが、現在の状況についてどう考えているのだろうか。省エネなどエネルギー関連の展示会「ENEX 2016」の基調講演として登壇した経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー対策課長の辻本圭助氏の講演の内容をお伝えする。
エネルギー革新戦略と新たな省エネ評価制度
これらの取り組みを実現するためにエネルギー革新戦略を組み立てていく。戦略策定の目的は「エネルギーシステム改革の実行とエネルギーミックスの実現を通じて、エネルギー投資を拡大」「エネルギー投資の拡大により、成長戦略の目標であるGDP600兆円達成の一翼を担う」「エネルギー投資の拡大は、エネルギー効率を向上させCO2排出抑制に貢献」の3つである。
具体的な施策について、辻内氏は「これから省エネを徹底的にやってもらいたい業種、業態をこちらで決めて目標を設定。その部分に集中的に規制と支援という政府のリソースを投入していく。省エネを推奨するためにその分野へ補助金をどんどん使っていくということだ」と述べた。また、2016年度には中小企業など向けには無料の省エネ診断事業や、省エネ相談地域プラットフォーム事業などを計画している。
さらに、省エネ法定期報告を提出する全ての事業者をS・A・B・Cの4段階にクラス分けした新しい省エネ評価制度を実施する。優良事業者を業種別に公表する一方で、停滞事業者(Bクラス)以下にはより厳格な対応をしていく。また、未利用熱活用制度の創設、省エネ機器の導入促進、住宅・ビルのゼロ・エネルギー化の推進、既築住宅の省エネリノベーションの推進なども進めていく(図5)。
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