埼玉から東京へ水素を融通、水素供給拠点となる併設型ステーション:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
東京ガスが埼玉県さいたま市に建設した「浦和水素ステーション」が2016年2月8日より営業を開始した。施設内で都市ガスから水素を製造する「オンサイト式」のステーションで、同社が東京都内に開設している水素ステーションへの水素供給拠点としての役割も担う。
^埼玉から東京へ水素融通、水素供給拠点としても機能
浦和水素ステーションの敷地面積は約1500平方メートルで、水素の充填(てん)能力は300Nm3/h(ノルマル立法メートル)、充填圧力は70MPa(メガパスカル)だ。燃料電池車1台につき、約3分間で水素を充填できる。水素は1kg(キログラム)当たり、1100円で販売する。
同ステーションは都市ガスから製造した水素を燃料電池自動車に充填する「オンサイト方式」の水素ステーションだ。そのため水素圧縮機、蓄ガス設備(蓄圧器)、ディスペンサー、水素プレクール設備に加えて、水素製造装置や水素出荷設備も備えている。ここで製造した水素を水素製造装置を持たない「オフサイト方式」の水素ステーションにタンクローリーなどで運ぶことで、水素供給拠点としても機能する。
浦和水素ステーションは、東京都内で既に営業を開始している「練馬水素ステーション」「北千住水素ステーション」に続いて、東京ガスが運営する3カ所目の水素ステーションになる。
この3カ所のうち、練馬水素ステーションのみオフサイト方式の水素ステーションとなっている。そこで東京ガスでは今回開設したオンサイト方式の浦和水素ステーションで製造した水素を、定期的に練馬水素ステーションに供給していく計画だ(図2)。供給頻度については「水素の使用量によって頻度は変わるが、2週間に1回程度のペースで水素を供給していく予定」(東京ガス)としている。
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