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北海道の真ん中に水力発電所を建設、6400世帯分の電力を増やす:自然エネルギー(2/2 ページ)
周囲を険しい山に囲まれた北海道の美しい町に大規模な水力発電所を建設する計画が始まった。ダムの直下で60年前から運転を続けてきた古い発電所を廃止して、新しい設備を導入して発電能力を増強する。2021年に稼働する予定で、一般家庭の6400世帯分に相当する電力が増える。
融雪期の放流水も取り込む
新旧の発電所を比べると、発電に利用する水流の落差は新得発電所のほうが1メートル低くなるが、水量は毎秒3.2立方メートル多くなる。これまで利用していなかった融雪期の放流水を加えることで水量を増加させる。どちらの発電所も十勝川の上流から導水路で水を取り込む方式は変わらない(図4)。
導水路を含めて既設の発電設備の一部は流用する。川の上流にある水槽や下流までの放水路も流用する計画だ。老朽化した水車や発電機は新設するほか、水車まで水流を送り込む水圧管路や放水路の一部も新設する(図5)。
北海道電力は建設工事の前に義務づけられている環境影響評価の第1段階(方法書)の手続きを2月9日に開始した。水力発電所では発電能力が2万2500kW以上で環境影響評価が必要になる(3万kW未満の場合には手続きが不要になるケースもある)。今後は第2段階(準備書)と第3段階(評価書)の手続きを経て、工事の認可を受けてから建設に着手する。
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