住宅メーカーとタッグ、ニッチ市場の一本釣り用電力料金を用意する東電:電力供給サービス(2/2 ページ)
東京電力と三菱地所ホームは、三菱地所ホームの全館空調システム専用の電気料金プランを共同開発し2016年4月から受付を開始することを発表した。電力会社と住宅メーカーが電気料金の専用プランを開発したは国内初だという。
TEPCOプレミアムプラン for エアロテック
「TEPCOプレミアムプラン for エアロテック」は、電気・ガス両方を使用する顧客に向けたもので、電気料金の定額範囲を300kWh(キロワット時)まで(「プレミアムプラン」は400kWhまで)に低減していることが特徴である。電力量料金は300kWhまでは定額でそれ以上であれば割安になる価格設定としている。プレミアムプランと比較した場合は、使用量が300〜400kWhの場合など、使用量の少ない季節で安くなる。また電気の駆け付けサービスなども付属する。
例えば、エアロテックの平均使用量が毎月約180kWhで4LDK、延床面積が約150平方メートルの一戸建ての世帯だと仮定した場合、エアロテックの冷暖房費が、一般的なプラン(東京電力従量電灯B、C)と比較して年間約2000円安くなるという(図2)。
TEPCOスマートライフプラン for エアロテック
一方、オール電化で全館空調システムを使う顧客向けプランとして「TEPCOスマートライフプラン for エアロテック」も用意する。通常のスマートライフプランと比較して24時間365日稼働する全館空調システムに対応するため、昼夜間の単価差を縮小していることが特徴となる。また、住宅設備故障修理サービスを付属しているという。条件としては、東京電力サービスエリアである他、1kVA(キロボルトアンペア)以上の夜間蓄熱式機器を設置していることが条件となる。
例えば、エアロテックの平均使用量が毎月約180kWhで、4LDK、延床面積が約150平方メートルの一戸建てに住んでいる場合、エアロテックの冷暖房費が、一般的なプラン(東京電力従量電灯B、C)と比較して、年間約1万5000円安くなるとしている(図3)。
販促材料として電気が扱われる時代に
今回のプランが従来の電気料金プランに比べて斬新なのが、非常にニッチな顧客対象に向けた料金プランである点である。これらのプランは小売電気事業者にとっては、電気をより使う顧客など、求める顧客像にハマる顧客を一本釣りできるという利点がある。一方で、今回の住宅メーカーのような提携先にとっては、電気を販促材料として組み合わせて提案することが可能だという利点がある。電気料金プランの安さ競争に限界が見えつつある中、今後はよりこうした販促商材と組み合わせた電気料金提案なども増えてくることが予想される。
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