コンビニと水素ステーションが一体化、燃料電池で発電して店舗電力に:蓄電・発電機器
日本初となるコンビニ併設型の水素ステーションが登場した。岩谷産業とセブンセブン‐イレブン・ジャパンが協力したもので、東京都と愛知県の2店舗にオープンする。純水素燃料電池を活用して、水素で発電した電力を店舗にも活用していく。
岩谷産業とセブン‐イレブン・ジャパンは、国内で初めてコンビニエンスストア併設の水素ステーションをこのほど東京都大田区池上と愛知県刈谷市にオープンした。
「イワタニ水素ステーション東京池上」はセブン-イレブン大田区池上8丁目店に併設したもので水素ステーション全体の敷地面積は1545平方メートル(図1)。「イワタニ水素ステーション愛知刈谷」は同刈谷一里山町店に併設され、敷地面積は2478平方メートル(図2)。
両ステーションとも液化水素オフサイト供給を採用し、液化水素貯槽、ドイツ・Linde社製水素圧縮機、蓄圧設備、ディスペンサーなどを備えている。供給能力は燃料電池自動車(FCV)で300ノルマル立方メートル、1時間当たり FCV6台の満充填(てん)が可能だ。充填圧力は70MPa。
岩谷産業は「水素をエネルギーとして活用する社会」の実現を目指しており、この一環として、全国で水素ステーションや水素製造プラントの建設・運営を進めている。また、セブン‐イレブンは地域に根差した「近くて便利」な店舗づくりを進める上で、新エネルギー・再生可能エネルギー導入など環境マネジメントの徹底に取り組んでいる。
今回水素ステーションを併設したセブン‐イレブン店舗では、純水素型燃料電池も設置し、環境負荷低減について実証実験を行うとともに、小売店舗における純水素型燃料電池活用の将来性について検証を行う。なお、純水素型燃料電池は、山口県の補助事業により、山口リキッドハイドロジェン、東芝燃料電池システム、長府工産、岩谷産業が共同開発中のものを設置予定だ。
こうした取り組みで、今後も商品やサービスの拡充だけでなく、エネルギー問題に対して“省エネ”“創エネ”“蓄エネ”による総合的かつ積極的な取り組みを行い、総電力使用量の削減とともに環境にやさしい店舗づくりを進めていく。
また、岩谷産業はコンビニ併設の水素ステーションの設置で水素エネルギーが広く社会に浸透していくことを期待している。同社は全国20カ所での水素ステーション建設を推進中で、種子島宇宙センターから打ち上げられるロケット用燃料や半導体など産業用分野での需要が増加している液化水素について、燃料電池自動車(FCV)用途など今後の需要増も想定しながら、生産体制の強化に取り組む計画だ。
今後も、両者は「商品」「サービス」「クリーンエネルギー」を一度に提供することができる「地域インフラとしての拠点」づくりを目指し、コンビニと水素ステーションとのコラボレーションを積極的に進めることにしている。
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