節約を意識する人は「節電」を最重視、75%が対策を実施:エネルギー管理
アサヒビールの持株会社が全国の約1000人を対象に節約に関する意識調査を実施した。回答者の9割以上が節約を意識した生活を続け、中でも「節電」を最も重視している。節電対策を実行している割合は75%にのぼり、東日本大震災から5年近くが経過しても節電の重要度は低下していない。
アサヒグループホールディングスの「お客様生活文化研究所」が2月3日〜9日に、インターネットを使って全国の20歳以上の男女1087人から節約に関する意識を聞いた。節約を「強く意識している」(35.0%)と「まあまあ意識している」(57.5%)を合わせると回答者の9割を超えている(図1)。
この調査は毎年2月に実施していて、特に消費税が5%から8%に上がった2014年から節約を強く意識する人の割合が高まった。しかも注目すべきは、節約のために実施していることで「節電」を挙げる人が最も多いことだ。回答者の4分の3にあたる75.3%が節電対策を実施している。第2位の「外食費・飲み代を抑えている」の50.1%を大きく引き離す結果になった(図2)。
節約の実施項目については2014年の調査から聞き始めたが、3年連続で75〜77%の回答者が「節電」を挙げている。この調査結果を見る限り、2011年3月の東日本大震災を機に広まった節電に対する意識は5年後の現在でも低下していないと考えられる。加えて「節水」(47.1%)と「節ガス」(31.7%)を実行している人も少なくない。
節約を意識する理由では、「老後の生活不安」や「長引く経済不況」といった切実な問題を挙げる人が多い。一方で2015年の調査では第1位だった「消費税が8%に増税」は41.1%から29.2%へ減少した。とはいえ「2017年の春に予定する消費税10%増税に備えて」と回答した人も24.4%にのぼることから、消費税が節約意識を高めている状況は変わらない(図3)。
同研究所では今後さらに節約意識が高まっていくと予想する。家計費を抑えるうえで、2016年4月から始まる電力の自由化に対する期待は大きいとも指摘している。節電だけではなく節水や節ガスを実施している人も多いことを考えると、電気料金に水道料金やガス料金、あるいは通信料金を加えたセット割引のニーズは根強いと言える。
関連記事
- 節電した電力を売れる、「ネガワット取引」が小売自由化で活発に
小売全面自由化が始まると、事業者間で電力の売買が活発になっていく。発電した電力だけではなくて、節電した電力の取引も可能になる。「ネガワット取引」と呼ばれるもので、需要が増加する時間帯に使用量の削減分を売ることができる。2020年には卸電力市場でもネガワット取引が始まる。 - 電力・ガス・電話のメガ競争が始まり、電気料金は確実に安くなる
いよいよ電力の小売事業が4月1日から全面的に自由になる。全国で7.5兆円にのぼる家庭の電力市場に向けて、ガス会社を筆頭に有力企業が続々と乗り出してくる。携帯電話やインターネットサービスと組み合わせたセット割引も始まり、電力会社と新規参入事業者の競争が各地域へ広がっていく。 - 電力の購入先変更を検討する人が8割に、電気の質に不安も
電力の小売自由化が一般にどのくらい認知されているのか。資源エネルギー庁が全国1000人を対象に調査した結果、9割以上が自由化を認識していて、購入先の変更を検討する人も8割に達した。電気料金の低下に期待する一方で、電気の質など供給面の情報は浸透していない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.