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2016年度の買取価格が決まる、太陽光発電は非住宅用が24円、住宅用は31〜33円自然エネルギー(1/4 ページ)

固定価格買取制度の2016年度の価格案が決まった。焦点の太陽光発電では非住宅用が前年度から3円安い24円に、住宅用も2円下がって31〜33円になる。非住宅用は発電システムの費用を従来よりも厳しい基準で想定した。風力発電などは買取価格を据え置くが、2017年度には価格決定方式が変わる。

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 政府の「調達価格等算定委員会」が2016年度の買取(調達)価格の最終案を2月22日にとりまとめた(図1)。従来と同様にコスト削減が進む太陽光発電の買取価格だけを引き下げる内容だ。この最終案を経済産業大臣が採用して正式に決定する。


図1 2016年度の買取(調達)価格案(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 日本の再生可能エネルギーの導入量に大きな影響を与える非住宅用の太陽光発電は27円から24円に下がる。これで家庭用の電気料金の平均単価と同じ水準になり、今後は火力発電の平均コスト(約11円)に近づいていく。

 固定価格買取制度では発電システムの費用をはじめ6つの指標をもとに買取価格を算定することになっている。特に太陽光発電ではシステム価格の低下が続いているため、次年度の想定値をどのように設定するかで買取価格が変わってくる。委員会の案では2016年度のシステム費用を出力1kW(キロワット)あたり25.1万円で想定した(図2)。前年度から4万円近くも低く設定している。


図2 太陽光発電(非住宅用、出力10kW以上)の買取(調達)価格と算定指標の想定値(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 この想定値は従来よりも厳しい基準で見積もった結果である。非住宅用のシステム費用を想定するにあたって、最もコスト効率が高い出力1000kW以上の大規模な発電システムの中央値で決める方法をとっている。2015年度は29万円/kWで、非住宅用の10kW以上のシステム価格全体では低いほうから並べて上位20%に入る水準だ。

 同様に2016年度の想定値の根拠になる2015年のシステム価格を見ると、上位20%に相当する水準は26.8万円/kWである(図3)。ところが2月22日に開催した委員会では1000kW以上の発電システムのコスト効率をさらに改善できると判断して、上位15%のシステム価格を採用することに決定した。このため2016年度の想定値は一気に25.1万円/kWまで下がった。


図3 太陽光発電(出力10kW以上)のシステム価格の分布(2016年1月19日の委員会資料)。出典:資源エネルギー庁

 一方でシステム費用を除く5つの指標は同じ数値を採用した(図4)。もしシステム費用の想定値が従来通りの基準で26.8万円/kWであれば、買取価格は25円が妥当な水準である。新たに厳しい基準でシステム費用を25.1万円/kWまで下げた結果、買取価格は24円になった。急増する非住宅用の太陽光発電を抑制したい政府の意向を反映している。


図4 太陽光発電(出力10kW以上)に対する想定値の推移(2016年1月19日の委員会資料)。出典:資源エネルギー庁
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