家庭向けの電力販売で東京ガスが先行、申し込みが5万件を突破:電力供給サービス(2/2 ページ)
東京ガスが家庭向けに提供する電力の申し込みが2月23日の時点で5万4000件に達した。新規参入組の中では東京電力の管内で4割のシェアを占める勢いだ。2月1日に電気料金を引き下げた効果が大きく、1カ月足らずで申込件数が5倍に増えた。一方で顧客から不満の声も届いて改善策を実施した。
説明不足の状態で73件の契約獲得
東京ガスは申込件数の発表と合わせて、顧客から寄せられた不満や指摘についても公表した。契約内容や重要事項の説明不足のほか、解約金や料金メニューの他社比較に関する内容が多くを占めている(図3)。
たとえばインターネットで申し込みを受け付ける場合に、当初は重要説明事項に含まれる電気需給開始予定日や小売電気事業者情報の記載が漏れていた。この問題点を解消する以前の段階で73件の申し込みを受け付けていたため、東京ガスは個別に電話で説明して了解を得ている。
あるいは利用者が契約を解消した場合に発生する解約金についても、一部の営業担当者が不適切な説明を実施していた可能性が指摘されている。経済産業省は適切な情報提供の方法などを「電力の小売営業に関する指針」にまとめて、小売電気事業者に順守するよう求めている(図4)。
東京ガスは2011年に策定した「チャレンジ2020ビジョン」の中で、2020年に約300億kWh(キロワット時)の電力を販売する目標を掲げた(図5)。東京電力が2014年度に販売した電力量(2570億kWh)の1割以上に相当する。
自社で運営する電源の規模も約300万kW(キロワット)に拡大する計画だ。主力になる電源の1つは、LNG(液化天然ガス)を燃料に利用する火力発電の「扇島パワーステーション」である。2月1日には3号機の営業運転を開始して、3基の合計で122万kWの電力を供給できる体制になった。
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