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電力需要が1月に8.7%も減少、震災後の夏以来の落ち込み:電力供給サービス
電力会社10社が2016年1月に販売した電力量は前年比で8.7%も減少した。震災直後の2011年の夏に10%を超える減少率を記録して以降では最大の落ち込みだ。暖冬の影響や検針日数の違いがあったものの、電力会社の業績に与える影響は大きい。最大の減少は関西で11.3%に達した。
年末年始をはさむ1月は家庭の検針日がずれる影響で、電灯の販売量は前年と比べて変動することが多い。その点を考慮しても、1月の販売量の落ち込みは大きかった。電力会社10社の販売量は合計で732億kWh(キロワット時)にとどまり、前年1月の802億kWhから70億kWhも減少した(図1)。減少率は8.7%で、2012〜2015年の4年間には1度も記録したことのない低い水準だ。
用途別に見ると家庭向けの電灯が11.4%減少したほか、オフィスなどで利用する業務用も9.5%減と1割近く減っている。工場などの産業用だけは4.0%の減少で、直近の3カ月と同程度に収まった。集計した電気事業連合会は検針日数の違いに加えて、1月上旬の気温が前年に比べて高めだったことを理由に挙げている。
地域別では関西の11.3%減が最大で、次いで東京が9.4%、中部が8.2%の減少だった(図2)。市場規模の大きい3地域の減少が著しく、全体の販売量を押し下げた。家庭向けの電灯では北海道・九州・沖縄を除く7地域で減少率が10%を超えている。業務用では北海道・東京・関西の3地域が10%以上の減少だ。産業用は北海道が9.8%減で落ち込みが目立つ。
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