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2016年度は国内空調需要が盛り上がる、波に乗りたいメーカー各社の切り札:省エネ機器(3/3 ページ)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要や、増税前の駆け込み需要の増加により、2016年度の国内空調市場は活性化する見通しだ。これに向け空調機器の展示会「HVAC&R JAPAN2016 冷凍・空調・暖房展」では、国内メーカー各社が注力製品を一堂に披露した。
GHPとEHPの使い分けを可能にしたスマートマルチ
パナソニックは同社が強みとするガス空調をはじめとした主力商品を紹介した。このうち2016年4月をめどに発売予定の「スマートマルチ」は、パナソニックと東京ガス、大阪ガス、東邦ガス4社で共同開発した業務用空調システム。GHPとEHP(電気モータヒートポンプ)を同一冷媒系統に組み合わせた日本初の空調システムとしており、GHPとEHPの運転状況や、エネルギー需給状況や季節・時間帯によって異なるエネルギー価格などをみながら、遠隔制御によりGHPとEHPを使い分け、エネルギーコストの削減が図れるなどの特徴を持つ。
主力製品の省エネ性能をさらに高めた東芝
東芝キヤリアは「ヒートポンプソリューションカンパニー」としての同社の特徴を生かした製品群を訴求した。そのうち、中部電力との共同開発製品で、2016年4月に発売予定の店舗・オフィス用エアコン室外機「スーパーパワーエコゴールド」はコンプレッサーやインバーターなどの部品改良を行うことで業界トップの省エネ性能を達成している。
また、低負荷運転時の断続運転を制御してエネルギーロスが発生する機会を低減させることが可能となった。さらに、本体のコンパクト化に成功し、設置スペースや重量を削減している。この他にも工場用の柱を空調システムに変えられる新製品なども展示している(関連記事)。
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