走り出すホンダの燃料電池車、その未来を左右するGMとの提携戦略:電気自動車(2/4 ページ)
ホンダは新型の燃料電池車「CLARITY FUEL CELL」の販売を開始する。まずは企業や自治体を中心にリース販売を行い、1年半後をめどに一般発売も開始する計画だ。普及が期待される燃料電池車だが、乗り越えなくてはならない課題も多い。ホンダは会見で今後のさらなる普及に向けた課題や取り組みの方針について語った。
小型化した「燃料電池スタック」をボンネット下に収納
ホンダがクラリティの性能について特に強調しているのが「ガソリン車と同等の利便性を追求した」という点だ。いくら環境性能が高い「究極のエコカー」といえど、モビリティとしての利便性や性能を犠牲にしては将来の大規模な普及は見込めないという考えがある。これが最もわかりやすく現れているのが乗員人数だ。ミライは4人乗りだが、クラリティは一般的なセダンと同等の使い勝手を意識して5人乗りの設計となっている(図4)。
5人乗りを実現するためにホンダが取り組んだのが、FCVの肝となるFCスタックの小型化とレイアウトの工夫だ。まず、トヨタのミライの場合はパワーコントロールユニットと駆動用モーターをボンネット内に設置し、FCスタックなどはフロントシートの下部に、バッテリーは後部座席下部に置いており、4人乗りとなっている(図5)。
一方ホンダのクラリティは、FCスタックを従来の「FCXクラリティ」より33%小型化し、駆動モーターユニットなどとともに燃料電池パワートレインをまとめてボンネット下に集約しているのが大きな特徴だ(図6)。FCスタックの出力は103kW(キロワット)。リチウムイオンバッテリーは前座席の下部、水素タンクは24リットルと117リットルの2つに分けて、後部座席のあたりに配置している(図7)。
こうした構成によってクラリティでは5人が乗車できる空間を確保した。トランク部分も9.5型のゴルフバッグが3つ積載できるトランク容量を確保している。そしてこのボンネット下にパワートレインを集約するという構成は、通常の前輪駆動のガソリンエンジン車と同様であり、将来の他モデルへも展開もしやすくしている(図8)。なお、クラリティのパワートレイン部分は、ホンダのV型6気筒のガソリンエンジンと同等のサイズになるという。
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