電力小売全面自由化で10万5300件が契約変更――東電・関電管内に集中:電力供給サービス
電力小売全面自由化を2016年4月1日に控え、従来の主要電力会社から乗り換える動きが進みつつある。電力広域的運営推進機関が公表した契約変更申し込みの結果では2016年3月11日までに10万5300件の契約変更があったとしている。
電力会社間の需給を調整する役割を担う電力広域的運営推進機関は2016年3月18日、電力契約変更を支援する「スイッチング支援システム」の利用状況を公表した。
これによると、2016年3月11日時点で実際にスイッチング(契約変更)を行ったのは10万5300件となった。ただ、設備情報照会や使用量情報照会などを行っているのは23万6000件となっており、今後実際に新たな契約電気事業者による電力供給が行われるようになれば、契約変更はさらに増えるものと見られている。
地域別に見てみると、世帯母数の多い東京電力管内が4万9700件、関西電力管内が3万2000件と、二大都市圏が圧倒的多数となった。情報照会数も東京電力管内が11万5500件、関西電力が7万6500件と大幅に多い。一方でその他の地域では契約変更数が1万に満たない状況で、二大都市圏を狙った新規小売事業者が積極的に提案を進めている様子が伺える。北陸電力や中国電力、沖縄電力管内は、3桁以下の契約数でほとんど契約変更がないという状況である。
契約変更については、スマートメーターの取り付けが必要になるが、東京電力管内での設置の遅れが明らかになる(関連記事)など、契約変更を行うつもりでも待たされるような場合が生まれている。電力広域的運営推進機関でも2016年3月4日までは「動静情報(スマートメーターへの取替工事のために小売電気事業者が一般電気事業者の送配電部門に任意に提供したスイッチングの事前受付に関する情報)」を元にしたスイッチング見込み情報を公表していたが、東京電力管内では18万6400件が契約変更見込みとしていた。
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