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洋上風力の発電効率30%を実証、日本初の着床式2カ所で自然エネルギー(2/3 ページ)

2013年に日本で初めて運転を開始した2カ所の洋上風力発電設備の実証データが明らかになった。発電能力が2MW級の大型風車を洋上に設置した商用レベルの設備で、年間の発電効率が30%前後に達することを実証した。平均風速は毎秒7メートルを超えたが、風向は2カ所で大きな差が出た。

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銚子沖では設備利用率が34.2%に

 風力の発電量を大きく左右する風速の観測データを見ると、銚子沖では月平均の最高が4月の10.3メートル/秒で、最低の8月でも5.9メートル/秒を記録している(図4)。年間の平均風速は7.5メートル/秒だ。一般に風力発電の条件は年間の平均風速が5メートル/秒を超えることだが、それを大幅に上回っている。洋上風力発電の大きなメリットである。


図4 銚子沖の月別平均風速(高さ80メートル)。出典:NEDO

 こうした風速によって得られた発電量は年間(2013年6月〜2014年5月)で718万kWh(キロワット時)に達した。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は年平均34.2%で、洋上風力の標準値である30%を上回り、陸上風力の標準値20%に対して1.7倍の発電効率を示す結果になっている(図5)。日本初の洋上風力発電設備が想定以上の発電効率を得られたわけだ。


図5 銚子沖の月別発電量と設備利用率(画像をクリックすると拡大)。風速データに基づく推定値を含む。MWh:メガワット時(=1000キロワット時)。出典:NEDO

 これに対して北九州市沖では月平均の風速が最高で8.8メートル/秒、最低では5.5メートル/秒だった(図6)。年間の平均は7.1メートル/秒で、銚子沖と比べると0.4メートル/秒の差がある。2つの地域で共通する点は6〜8月の夏の時期に風速が弱まることだ。


図6 北九州市沖の月別平均風速(高さ80メートル)。出典:NEDO

 北九州市沖の年間の発電量は444万kWhを記録した。設備利用率は年平均28.5%で、銚子沖と比べて5.7ポイントも低くなる。洋上風力発電の標準値30%にわずかだが届かなかった。特に風速が弱まる8月の設備利用率は16%まで低下している(図7)。


図7 北九州市沖の月別発電量と設備利用率(画像をクリックすると拡大)。風速データに基づく推定値を含む。6月の発電量は一部だけ。MWh:メガワット時(=1000キロワット時)。出典:NEDO

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