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ココナッツ油にヒマワリ油を混ぜ、炭化水素燃料を取り出す技術を開発:自然エネルギー
バイオベンチャーのユーグレナは、信州大学との共同研究で植物由来の油から炭化水素燃料を効率的に生成することができる研究結果を確認したことを発表した。
一般的に石油製品のように炭素と水素からなる燃料を炭化水素燃料というが、植物由来の油は酸素分子を含むため、炭化水素燃料として利用することができない。そのため、植物由来の油から炭化水素燃料を取り出す際には酸素分子を除くための水素化処理が必要になり、設備投資のコストが増加するという課題がある。
今回の研究では、植物由来の油から水素化処理を行わずに炭化水素燃料を作り出す方法として、飽和脂肪酸(炭素鎖が水素で飽和されている脂肪酸)を主成分とするココナッツ油と不飽和脂肪酸(二重結合を持つ脂肪酸)を主成分とするヒマワリ油を、触媒で分解反応を起こし炭化水素燃料を取り出す接触分解反応を用いた研究を行った。
その結果、ヒマワリ油、ココナッツ油とヒマワリ油を混ぜた油について、炭化水素燃料の収率の増加を確認した。これにより、ヒマワリ油のような不飽和脂肪酸を有する植物油は接触分解させると炭化水素燃料を生成しやすいことが分かった。また、ココナッツ油のような飽和脂肪酸を主成分とする植物油は接触分解により炭化水素燃料を生成しにくいが、不飽和脂肪酸を混合することで炭化水素燃料の収率の増加を促進させることが判明した(図1)。
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