横浜に新たなスマートシティが2018年に誕生、街全体で電力を融通:スマートシティ(3/3 ページ)
横浜市で先進的なスマートシティの開発が進んでいる。港北区綱島地区にあるパナソニックの事業所跡地を活用し、Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」としてパナソニック、横浜市、野村不動産、東京ガス、米Apple社など10団体が参画して開発を進める。マンション、商業施設の他、米Apple社の研究開発施設も建設する。再生可能エネルギーや水素などの利用率を30%まで高める他、IT技術を活用したサービスも提供していく計画だ。
スマートシティとしての目標値を設定
このように綱島SSTでは各施設/設備に各エリアを管轄する参画事業者と、パナソニックの技術を活用して街全体のスマート化を図る。パナソニックではこうした施設/設備の機能を活用して、綱島SST内において「スマートサービス」として「エネルギー」「セキュリティ」「モビリティ」「ウェルネス」「コミュニティ」「ファシリティ」の6種類のサービスを提供していく計画だという(図7)。
Tsunashima SST 協議会では綱島SSTの“スマートさ”を図る指標として、街づくりの具体的な目標値を設定している。まず環境目標としてCO2排出量を2005年度比で40%削減、生活用水使用量を30%削減、再生可能エネルギーやCGS、燃料電池システムといった「新エネルギー」の使用率を30%以上にするという目標値を掲げた。
さらに住民や利用者の安心・安全目標として、災害などの非常時から復旧まで3日間で復旧できる防災体制の構築、街の見守り率100%、タウン内で何か問題が発生した場合の駆けつけ目標時間を15分として設定した。
街全体を3次元モデル化する世界初の手法を導入
綱島SSTの建設については、大手ゼネコンの大林組が主幹事を担う。その中で特徴的なのが同社が持つ「Smart City Information Modeling(SCIM)」の活用だ。これは設計段階で作成した3次元化して街全体を「見える化」し、同時に街づくりに携わる行政、エネルギー事業者、発注者、設計会社、施工会社などがそれぞれ持っている情報を全て一元的にまとめた情報プラットフォームを構築するものだ(図8)。
このSCIMを綱島SST内にある施設/設備のマネジメント、自転車のシェアリングといったサービスの円滑な運用に役立てて行く計画だという。エネルギーや防災分野だけでなく、街のつくり方の部分においても最新の技術を活用していく。なおSCIMを適用するのは、今回の綱島SSTが世界初の事例になるという。
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