県庁所在地で5番目に日射量が多い名古屋市、発電量を推計するサービス開始:太陽光
名古屋市は、太陽光発電設備を設置時に目安となる発電量などを推定するWebサイトを公開した。
名古屋市は日射量が全国で5番目(47県庁所在地中)であり、太陽光・太陽熱の利用ポテンシャルが高いとされている。こうした環境面でのメリットを生かすため、太陽光発電設備や太陽熱利用設備の普及促進に積極的な取り組みを進めている。その一環として、このほど太陽光発電設備や太陽熱利用設備を自宅に設置しようとした際の目安となるように、設置可能な設備容量、発電量、CO2削減量などを推定し、地図上に表示するウェブサイト「名古屋市ソーラーパワー診断マップ」を公開した(図1)。
同サイトは、地図上の建物をクリックするだけで、屋根の傾斜や方位に加えて、周辺建物などによる日陰の影響などを考慮し、適合度、設置可能な設備容量、余った電力の売電収入およびCO2削減量などを推定して表示する。屋根面積の入力などが必要ないことから、手間がかからず便利だ(図2)。
Webサイトでは太陽熱利用設備の診断や、それら設備を設置する際の名古屋市の補助金についても紹介している。名古屋市では住宅用創エネルギー機器設置費補助金(平成27年度)として太陽光発電設備は先着順1200件程度に2万5000円/kW(上限5kW)、太陽熱利用設備について先着順60件程度に、太陽熱温水器1万円/平方メートル(上限10平方メートル)、ソーラーシステム2万円/平方メートル(上限10平方メートル)。さらに家庭用燃料電池システム(エネファーム)は5000円/台(200台)の補助金制度を設けている。
屋根貸しなどの取り組みも
名古屋市では、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、公有財産を活用した太陽光発電事業(屋根貸し)をはじめとしたさまざまな取り組みも実施中だ。
屋根貸し事業では、協定を締結した施設は314施設あり、このうち小中学校など184施設で発電を開始している(2月末時点)。この数は同事業を展開している政令指定12都市の中で最多だという。屋根貸し方式のほかにも、市が設置費用などを負担して太陽光発電設備を設置し発電事業者となる直営設置、市が同設備をリース会社から借り発電事業者として電力会社に全量売電するリース方式も進めており、直営設置は156施設(2050kW)、リース方式は2施設(925kW)に及んでいる。
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