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「雪氷熱」でデータセンターを冷房、電力の使用量半減へ:自然エネルギー(2/2 ページ)
インターネットの発達によって大量のIT機器を収容できるデータセンターの需要が拡大している。IT機器の消費電力に加えて、機器が発する熱を吸収するために冷房の使用量が非常に多い。雪を固めた「雪氷」と外気を組み合わせて、年間を通じて冷房可能なデータセンターが新潟県に誕生する。
空調システムの排熱を植物工場に供給
大量の電力を消費するデータセンターでは、エネルギーの利用効率を表す指標としてPUE(Power Usage Effectiveness)を使う場合が多い。データセンターの消費電力をIT機器とそれ以外に分けて、全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値がPUEだ。従来型のデータセンターではIT機器の消費電力が全体の半分を占めて、PUEは2.0程度になるのが一般的である(図4)。
図4 「青い森クラウドベース」のエネルギー利用効率(画像をクリックすると拡大)。PUE=Power Usage Effectiveness(データセンター全体の消費電力÷IT機器の消費電力)。出典:青い森クラウドベース
高効率の空調システムを採用した最新型のデータセンターでは空調の消費電力が半分以下に減って、PUEは1.5くらいまで下がる。これに対して雪氷熱を利用した「青い森クラウドベース」の場合には空調の消費電力が5分の1程度で済み、PUEが1.2以下になることを想定している。
長岡市の新データセンターでは雪氷と外気による冷房システムの効率をさらに高めて、PUEを理想の1.0(IT機器以外の消費電力ゼロ)に可能な限り近づける。一般的なデータセンターではランニングコストのうち35%程度を空調の電力に費やしている。雪氷熱を利用することでコストを削減できるうえに、CO2(二酸化炭素)の排出量を削減できるメリットも大きい。
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