再生可能エネルギーの出力変動を水素で解決、東北電力が研究開始:自然エネルギー
東北電力は、水素製造技術を活用した再生可能エネルギーの出力変動対策に関する研究を開始する。2016年4月から研究システムの詳細設計をスタートし、機器を据え付けた後、2017年3月から水素製造などの研究を開始する。
再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、気象条件による出力変動の調整が最大の課題となっている。これまで東北電力では、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、国の実証事業として、南相馬変電所と西仙台変電所に設置した蓄電池技術を活用した出力変動対策に取り組んできた。今回の水素製造に関する研究は、こうした蓄電池による対策と同様の効果を期待して行うものだ。
研究では、東北電力 研究開発センター(仙台市青葉区、設置面積約400平方メートル)に、新たに小規模試験用の太陽光発電設備(約50キロワット)をはじめ水素製造装置(約5N立方メートル/時)などをコンテナ方式で設置する。屋上に設置した太陽光で発電し、その電力を使い水電解水素製造装置で、水を電気分解し水素と酸素を製造する。発生した水素は水素吸蔵合金方式水素貯蔵タンク(約200N立方メートル)に貯蔵。この水素を燃料電池(10キロワット未満)で酸素と反応させ発電する(図1)。電力は研究開発センターで利用する計画だ。研究期間は2019年3月までを予定する。
東北電力では、この研究で出力変動の大きい電気を水素製造に使用し、吸収することで、水素製造技術が蓄電池と同様に再生可能エネルギーの導入拡大に伴う出力変動対策として適用可能かを検証することにしている。
また、水素エネルギーは、省エネルギーやエネルギーセキュリティの向上、環境負荷の低減などの面から、日本の将来の重要なエネルギー源として期待されており、国においても水素社会実現に向けた取り組みが進められている。東北電力としても、この研究を通じて、水素エネルギーに関する知見を獲得していく考えだという。また、東北エリアにおいても、水素社会実現に向けた取り組みが進められており、この研究を通じて得られた知見や成果を提供するなど、地域に寄り添った取り組みも進めていく方針だ。
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