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冬の電力需要が予測を大幅に下回る、北海道も関西も予備率10%以上:電力供給サービス(2/2 ページ)
政府が全国各地の今冬の需給状況をまとめた結果、需要に対する供給力の余裕を表す予備率は最低でも5%前後を確保できていた。需要の減少が著しい北海道では12月〜3月の4カ月間を通じて10%以上を維持する一方、予備率が3.3%まで下がる想定だった関西でも10%を下回ることはなかった。
東京では企業の需要が20%も減る
最大需要が減少した状況を地域ごとに見てみると、2010年度から減少した割合が最も大きいのは関西の14.0%だ(図4)。次いで東京の13.6%、北海道の13.0%である。この3地域だけ震災前と比べて最大需要が10%以上も減っている。一方で中国では1.2%の増加が見られるなど、東日本に比べて西日本ではさほど需要が減少していない。
さらに12月〜2月の平日の需要を用途別に比較すると傾向がはっきりわかる。東京では大口需要家(契約電力500kW以上)と小口需要家(同50kW以上500kW未満)の電力需要が震災前と比べて20%以上も減少した(図5)。これに対して家庭の需要は8%しか減っていない。北海道と同様に新電力へ契約を変更した企業や自治体の影響が見てとれる。
関西や九州でも大口需要が16%減少する一方、北海道では小口需要が19%も減少していて、地域による傾向に違いも見られる。家庭の需要が最も大きく減ったのは関西で、10%を超えた。震災後に2度にわたって電気料金を値上げしたために、家庭でも節電対策が浸透して需要を押し下げた結果だ。電気料金を値上げしていない北陸は5%減、中国は3%減にとどまっている。
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