太陽光のスペクトルデータをデータベース化、ソーラービジネスを高精度に支援:太陽光
NEDOは、これまで広く利用されてきた日射量データベースに加え、新たに日射スペクトルデータベースとアジア標準日射データベースを整備し、公開した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2012年から「日射量データベース閲覧システム」で、国内の年間時別日射量データベース(METPV-11)、年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)および全国日射量マップを公開してきた。このデータベースは、800以上の地点における任意の傾斜面、方位での時間別、月別の日射量の把握や地図上で日射量の分布を見ることができる。そのため太陽光発電の事業者や施工業者などが太陽光パネルを設置する場合の発電量を推定する際に、前提となる日射量を調べるためのツールとして、広く活用されている。
今回、NEDOは、新たに国内の日射スペクトル(日射エネルギーの波長に対する分布)データベースおよびアジア標準日射データベースを整備するとともに、MONSOLA-11に年変動の表示機能を追加した。これにより各月および年平均・各季節における変動の幅も分かるようになっている。
具体的には日射スペクトルデータベースは北海道(長沼町)、茨城県(つくば市)、岐阜県(岐阜市)、佐賀県(鳥栖市)、鹿児島県(沖永良部島)の5地点における傾斜面と水平面での日射スペクトルデータを気象データとともにデータベース化し、データの閲覧とダウンロードができるようにした。同データベースを用いることで日本の気象状況における太陽電池の分光感度(太陽電池の特定波長における入射光強度と出力電流値の比)を考慮した高精度な発電量の予測や、新材料の適用や多接合とした場合の発電特性など新しいタイプの太陽電池の研究開発に活用できる(図1)。
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