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木質チップを燃やしてトマトが育つ、熱とCO2を同時供給:スマートアグリ(2/2 ページ)
JFEエンジニアリングが北海道で進めているスマートアグリ事業の拡大に向けて、新プラントを建設する。木質チップを燃料とするバイオマスボイラーを導入して、地域の資源を活用しながら温室内で高糖度トマトなどを栽培する計画だ。
熱とCO2を同時に供給
Jファームの既存プラントに導入しているバイオマスボイラーは、JFEエンジニアリングの独自技術が導入されており、熱だけでなく作物の成長に必要なCO2も同時に供給できるのが大きな特徴となっている。
燃料には北海道内に豊富にある廃材などから製造した木質チップを活用している。バイオマスボイラー燃焼ガスは不純物などが多いため、温室への供給は行われていなかった。そこでJFEエンジニアリングは浄化設備を独自開発し、国内で初めてバイオマスボイラーから排出されるCO2の栽培利用を可能にしている。LPガスを燃焼させるボイラーより2倍以上のCO2を供給できるメリットもあるという(図4)。
新プラントにもこの浄化設備付きのバイオマスボイラーを導入する。さらに温室にはエネルギーコストを抑制しながら積雪に対応する独自の融雪システムも設置する。なお、新プラントの建設については農林水産省の「平成28年度強い農業づくり交付金」を活用して建設費のうち、約2分の1の補助を受ける。2016年5月に着工し、同年12月に完成する予定だ。
Jファームでは札幌と苫小牧の2拠点生産体制を構築し、生産した農作物を北海道内のみならずインターネット販売などを通して首都圏の大規模小売店舗などにも販路を拡げていく計画だ。
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