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電気料金が高い地域ほど販売量が減る、2015年度は関西5.2%減、東京3.9%減:電力供給サービス(2/2 ページ)
2015年度の電力会社の販売電力量がまとまり、沖縄を除く9社で前年実績を下回った。最も大きく落ち込んだのは関西の5.2%減で、前年度よりも減少率が大きくなっている。次いで北海道が4.1%減、東京が3.9%減と落ち込んだ。いずれも電気料金が他の地域と比べて高いところだ。
家庭の契約変更も東京・関西・北海道で増える
電力会社から契約を変更する利用者の増加は関西に限らない。10社合計の販売電力量を用途別に見ると、2015年度は企業・自治体向けの「業務用」と「産業用」を合わせた減少率が震災後に初めて家庭向けの「電灯」を上回った(図3)。小売が自由化されている企業・自治体向けの市場では、電力会社から新電力へ契約を変更するケースが全国各地で増えていることの表れだ。
2016年度から小売が自由化された家庭向けの市場では、今のところ東京と関西の2地域で契約変更(スイッチング)を申し込む利用者が突出して多い。4月22日の時点でスイッチングの申し込み件数は全国で74万件を超えた。そのうち東京電力の管内が47万件、関西電力の管内が17万件で、2つの地域を合わせて全体の86%を占めている(図4)。
北海道も市場の規模が北陸や中国と同程度にもかかわらず、スイッチング件数は約20倍にのぼっている。電気料金の高い地域では2016年度に家庭向けでも電力会社の利用者が減っていく。東京電力は火力発電のコスト削減に取り組んでいるが、北海道と関西は原子力発電に依存する状況を変えることができていない。このままでは高い電気料金を維持し続けて利用者をどんどん失ってしまう。
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