瀬戸内で進む日本最大級のメガソーラー事業、塩田跡地の活用課題をクリア:太陽光
瀬戸内Kirei未来創り合同会社が岡山県で、瀬戸内海に面する広大な塩田跡地を活用して出力230MWを誇る日本最大級のメガソーラーの建設を進めている。このプロジェクトとの一環として行っていた排水ポンプの増設、ポンプ場補修工事、非常用発電機の新設工事がこのほど完了した。干拓地であり、海面より低い塩田跡地の活用課題をクリアする。
瀬戸内Kirei未来創り合同会社が岡山県の塩田跡地で進めているメガソーラー事業では、同時に地域を災害から守るための安全安心事業も推進している。その1つが発電所における排水ポンプの増設と非常用発電施設の新設だ。
発電所を建設する錦海塩田跡地は海面より低い位置にあり、錦海堤防下部から常に海水が流入する。そのため、跡地南側で塩性湿地が形成されている。また、周辺地域から雨水なども流れ込んでいるため、瀬戸内市が保有・管理するポンプ場に設置された3台のポンプによって塩田跡地内の水位を調節してきた。
同プロジェクトでは、排水機能のさらなる信頼性向上を図るため、既設ポンプ故障時のバックアップとして排水ポンプを1台増設して4台(流量はいずれも6900立方メートル/時)とするとともに、築60年近く経過して老朽化したポンプ場建屋の改修工事を実施した(図1・2)。
また、停電時に備え、非常用発電設備も設置。発電機の出力は1000kVA(キロボルトアンペア)で、常用電源が使用できないとき発電機を使用することにより、排水ポンプ2台を同時に72時間連続運転可能だ。これらの設備は塩田跡地を所有する瀬戸内市に寄贈し、今後は市の管理のもと非常時には近隣地域も活用できるようにする(図2)。
瀬戸内Kirei未来創り合同会社は、くにうみアセットマネジメント代表企業とし、GEエナジー・フィナンシャルサービス、東洋エンジニアリング、中電工の4社が出資する特別目的会社(SPC)。2019年春の発電事業開始を目指して約500ヘクタールの塩田跡地のうち、約265ヘクタールに日本国内最大級となる約230MWの「瀬戸内Kirei太陽光発電所」を建設している(図3)。事業用地の所有者である瀬戸内市とは、施行協定および土地賃貸借契約を締結し、再生可能エネルギーの普及とともに地域の発展、安全安心、自然との共生を目指して事業を進めている。
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